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2022/07/01 品質システム

GMP教育(教育訓練)の実効性の評価や確保について。

新・医薬品品質保証こぼれ話【第6話】

教育訓練の実効性確保と図解の活用 医薬品の製造および品質管理の業務を的確に推進するためにGMP教育訓練が重要であることは周知ですが、その実効性の評価や確保という点においては未だ課題が多いのが現状であり、そのことは、昨今の医薬品回収に際する指摘事項からも窺えます。つまり、今なお、GMPの適切な実践ができていない理由として、人員の配置とともに教育訓練の実効性の問題がたびたび指摘される状況にあります。 この状況に鑑み、昨年施行の改正GMP省令において、“教育訓練の実効性の評価”が新たにGMP要件として規定されました。詳しくは、第19条(教育訓練)に新設された第4号の次の規定に拠ります。「教育訓練の実効性を定期的に評価し、必要に応じて改善を図るとともに、その記録を作成し、これを保管すること。」このことは、GMP査察における調査対象事項として“教育訓練の実効性の評価”がこれまで以上に重要になったことを意味します。換言すれば、この第4号の規定を法的根拠として査察が行われ、不備が認められた場合は重大な欠陥として指摘される可能性が高いということになります。 “GMP教育(教育訓練)の実効性の評価や確保”については、すでに各社で検討され、関連のSOPや記録に反映されている企業も少なくないと思われますが、その対応状況は企業により様々と推察されます。中には形式的な対応に留まっているケースがあるかも知れません。一般に、教育の効果を評価する上で最も簡単な方法は筆記試験(テスト)を行うことであり、学校教育などにおいては多くをこれに頼っているのが現状と思われます。人間の能力は多様であり、本来、様々な側面から確認する必要がありますが、結果が数値として確認でき優劣の判断が明解であること、また、公平性や公正性が保たれるという点などが、テストが能力評価に多用される理由と考えられます。 では、GMP教育の効果は何をもって計ればよいでしょう。GMPが職員に求める能力は知識そのものではなく、習得した知識を担当する業務に的確に応用・活用することにあります。よって、テストによる知識レベルの確認だけでは不十分であることは自明です。製造工程に沿った一連の操作や試験検査の手技が確実に行えるようになって初めて、教育は意味をなします。こう考えると、GMP教育の進め方や実効性評価の考え方は自ずと整理されるのではないでしょうか。つまり、各職員に求められる能力・技術を予め設定し、それに対応した教育プログラムを策定し、そのプログラムに沿った教育を実行する。そして最後に、個々の職員に求められる“知識の獲得”と“操作・手技の実践”の度合いを評価する。 実効性の評価はこの最後の段階にあたるわけですが、“知識の習得”に関しては上記のようにテストによる確認で概ね間に合うでしょう。問題は、“操作・手技”の実践力の評価ですが、基本的には次のような進め方が考えられます。製造業務においては、例えば、秤量などの単位操作の取得を目的とした訓練(OJT)の後の実際の操作に関するテストにおいて、“正しい作業流れと操作のポイント”が的確に実践できたか否かを指導者が観察して評価する。この場合、5段階などで評価ポイントと評点を設定し、点数を付与することによる数値化による評価が望まれます。 試験検査の場合も同様に、液体クロマトグラフィーによる有効成分含量の定量試験などにおいては、成分ごと或いは製品ごとに、“所定の試験の流れと手技のポイント”が正しく実行できるか否かを評価する、といったことが基本になるのではないでしょうか。なお、こういった実効性評価の手順や考え方を関連のSOPや資格認定システムに反映させておくことが重要となることは言うまでもありません。  

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2022/07/01 品質システム

教育訓練について。

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第58回】

教育訓練 1.知床観光船事故    知床観光船事故で尊い命が失われ、まだ、行方不明の方々の捜索が続いている。今後、原因究明と対策が行われることになろう。天候の悪化が予報される中、出港の判断をした社長や船長の責任は重大である。天候の状況で引き返すことを条件に乗客に納得してもらうために出港したと社長の発言もあった。乗客にとって、その危険性の認識はできず、社長の発言は無責任極まりないと言わざるを得ない。船長も免許は持っていたが、知床での経験は浅く、知床の海の天候を判断することは難しかったのではないかとの地元の方の意見もある。このような観光船の運航会社に対する当局の検査についても問題視されている。携帯電話を連絡の手段として届出されていたが、問題の海域は、携帯電話の電波が届かないエリアであったことや会社との無線が故障していたことが見過ごされていた点である。  船長の知床海域における経験不足は、船長の責任だけでなく、会社としての安全管理面としての教育訓練等として問題視されなければならない。しかし、船長として任用された時にそのようなリスクがあることは船長自身が会社に申し出る必要がある。また、他の船の船長も他人ごとではなく、意見すべきであった。どの分野でもあることだが、他部署に関わることに口を出したがらないことは多い。つまりは他人ごとである。他で起きていること、起きる可能性があるなら、自分のこととして、会社に意見できる文化を育むことが必要である。  社長は、全く品質システムとしての資源の配分ができていないことが明白である。無線機の故障に対する設備の修理などメンテナンスができていない。携帯電話では無線連絡が十分に行えないことを把握せず、当局へ届け出ていたことを認識していなかった。天候の悪化が予想される中での出港の判断。また、知床での経験が不十分である者を船長として任命した責任及び経験不足に対する教育訓練の未実施等、その責任は重い。過去に事故が起きていないことで安全を無視した安易な経営と目先の利益にとらわれた結果である。  規制当局のチェック不足も原因の一つである。安全を担保することは難しい。かつて、私が保健所で食品衛生監視に携わっていたころ、先輩監視員からもし、自分の監視指導後に、その飲食店で食中毒が発生したら、自分の監視指導に不足があったからと後悔しないように仕事をするように教わった。当然、その店舗における管理が悪いことが原因である。しかしそのチェックをした食品衛生監視員として、その管理の不足を見抜き、食中毒を未然に防ぐことが食品衛生監視員としての任務である。規制当局の査察官、検査官、監視員は、その自覚をもって、任に当たらなければならない。規制当局である行政庁職員は、異動も多く、経験不足な面がある。しかし、規制当局職員の目が甘くなれば、業者もこのぐらいなら大丈夫とずさんな管理に陥りやすいものである。GMPの自己点検で、自らの業務の点検を自らが行わないことを原則としているのは、自らを厳しくチェックすることはそれなりの鍛錬が必要であるからである。  船舶免許や医薬品製造管理者等、法令で規制しても、実際上、企業内でその任にあたる者に権限がないことも多い。社長がその点を認識して、その権限を十分与えなければ、その責務を全うすることはできない。経営者、現場責任者そして規制当局が互いを理解し、チェック体制を充実させなければ、どの業界においても、品質や安全に対する意識を向上させることはできない。

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2022/06/24 品質システム

製薬工場に必要なプロセスリスクアセスメントについて。

医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第28回】

「製薬工場に必要なプロセスリスクアセスメント」 1、  製薬企業のあるべき姿 製薬企業の国際化多様化が進む中、多くの企業でグローバルスタンダードへの関心が高くなってきました。なぜなら、日本の企業は世界中が混乱している中で他人事のように眺めていた時期から他人事でなくなってきたことを感じ始めたようです。BCM(ビジネス継続マネジメント)を構築し、運用している企業でなければは生き残れないことを身をもって体験しているからでしょう。BCMの構築で大切なのはサプライチェーンAuditをやることの必要性は感じていてもサプライヤーや委受託関連会社、協力会社などの何をオブザベーションするのかが重要です。例えば、安全リスク、火災リスク、自然災害リスク、ヒューマンエラーリスク、環境リスク、原薬曝露リスクおよび設備故障リスクも考慮せねばなりません。これらをすべて評価することは簡単ではありません。そこでプロセスリスクアセスメントとして高度な設備管理技術を駆使して設備とオペレターのキーとなる安全要素を特定し、詳細な分析・情報収集・竣工図の解析など行うことでリスクを評価し、高いリスク項目から優先的にリスク低減対策を実施することでリスクの低減を図ります。これらはいずれも生産活動を滞ることなく継続する為に重要で欠くことができないのです。サプライヤーAuditで関連工場を訪問し、オブザベーションやFindingsの指摘をし、その指摘内容が具体的でどのレベルのビジネス継続リスクかリスク低減対策のサポートをして、どのようなリスク低減対策を期待するのか。その結果、ビジネスの継続にどのような成果が期待できるのかを明示し、教育出来る技術が必要となります。これはAuditのStandardを熟知したレベルだけではなく、設備管理技術や安全リスク評価技術、火災リスク評価技術、環境リスク評価技術、自然災害評価技術、ヒューマンエラー評価技術、人的災害リスク評価技術など各技術を駆使し、関連リスクをすべて評価します。そして、優先順位付けした上でリスク低減対策案のアドバイスが必要になります。従って、どこかの教科書に書いてあるサプライチェーンAuditのチェックリストについて質問をするだけではビジネスを継続する為に役に立つことは少ないと考えなければなりません。国際化によってこれらのリスクアセスメントはプロセスリスクアセスメントとしてグローバルスタンダードを英文併記で出来ていることが求められています。これは誰でも出来ることではなく、上記の通り、技術レベルの高いエンジニアが現場を歩いて、キーとなる安全要素を特定し、以下のような事例の分析資料をすべて集めて評価の根拠にすることで具体化初めて指摘事項の意味やそのリスク低減対策が具体的に見えてくるものです。  各設備機器の竣工図と工程フロー図、その中の主要機器の運用上の特徴 各設備機器の仕様とライフ及び使用科の使用可能年数、メンテナンス時期と内容 関連GHS(Global Harmonyzed Symbol) 関連SDS(Safety data sheet)・・・OEB,OEL,MIE,Kstなどの情報入手 消防用設備機器仕様 環境や火災のハザード要件 生産機器の主要な安全要素とその仕様 その他 これらは大変難しく設備機器技術を熟知している必要があります。 国際化多様化は今や海外の話ではなくなりました。国内企業の海外企業との間で業務提携や委受託、原料供給、副原料や資材の供給などは当たり前のように行われています。グローバル企業はすでに必要なBCM対応を多かれ少なかれグローバルスタンダードで運用してきています。国内企業もグローバルスタンダードでサプライチェーンを巻き込んだ運用をせねばなりません。人的資本を高めて競争力を高めておくことこそが近未来の生き残りを担保出来る唯一の手段となることでしょう。

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2022/06/24 品質システム

前回に引き続き、技術移転時の品質トラブル事例について解説する。

医薬品の技術移転のポイント【第13回】

9)コールドフォームのピンフォール コールドフォームは両面アルミのPTP包装です。コールドフォームやアルミピローではピンホールチェックがとても重要になります。  ・シールの不備  ・アルミフィルムの亀裂  ・加工の不備 生産の立ち上げ時はIPCでピンホールの確認頻度を高め、早期発見が重要とコンサルを行い、理解してもらいました。ところが本国の指示で、1回/1ロットになっていました。偶然、QCの抜取試験でピンホールが見つかりました。もし、QCの抜き取り試験で偶然見つからなければ、後日製品回収になっていたかもしれません。 販売名:***細粒2%  製品回収 対象ロット  数量及              出荷時期 6      60,024個     平成31年4月8日~令和元年8月9日 回収理由 2019/11/21 当該製品における直接包材であるヒートシールのシール不良が複数発見されたため、不良の可能性があるすべてのロットを自主回収いたします。 ⇒ 包装工程の品質に関係するコールドフォームやアルミピローは防湿性を確保するためにとても重要です。なぜ1年4か月もわからなかったのでしょうか? それを防ぐにはモニタリングシステムを高めることだと思います。 10)S製薬の胃薬にドーピング薬混入…レスリング選手のドーピングで発覚 洗浄バリデーションの基準は下記の一番厳しい基準となっています。 ・10ppm以下 ・0.1%以下 ・目視確認 ところが、138 ロットを調査した結果では全ての原薬ロットから0.1ppm ~7.6ppm(平均値:1.1ppm、中央値:0.8ppm)のアセタゾラミド(ドーピング禁止薬剤)が検出されています。つまり、GMPで求めている基準より1~2桁厳しい基準がドーピング薬については求められていることが分かったのです。原薬製造所では、これまで抗がん剤や高薬理活性の薬を造っているか、アレルギー物質を兼用していないかなどを確認していましたが、これからはドーピング薬を製造していませんか?を質問事項に追加する必要があります。この事例まではドーピング薬のことを全く考えていませんでした。このような他社の事例を通して学び、あたかも自分たちの知識のように活用することができるかが問われています。そして同じ問題が発生することを防ぎます。  また、報告書を見ると、目視確認できるレベルのスパイクテストを原薬製造所で行っていませんでした。行っていないことは原薬製造所の問題ですが、それを確認していなかった製販の品質保証も実は問われているのです。逆に言えば、製販がこれから学んでスパイクテストの確認をする必要があるのです。

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2022/06/24 品質システム

Whyに続けて、Howに関するまとめと振り返りです。

【第11回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、「Howのまとめ、振り返り特集号!」

[https://fs.one-cmp.com/GMP_art_iguchi_20220622_1_aca3f96a4b.jpg]  Whyに続けて、Howに関するまとめと振り返りです。OPEXは難しいという方、この分野は初めてという方も多いと思います。振り返りながら前に進めます。「OEPX実行の勘どころ」の「勘どころ」です。 【第5回】 OPEX、リーンシックスシグマの概要 その1 [https://fs.one-cmp.com/GMP_art_iguchi_20220622_2_780503de08.jpg] 企業変革のキーワードは「企業価値の向上」です。 企業価値に磨きをかけるポイントは以下の3つです。  ①    顧客に価値をもたらすための組織運営、システムを強化する   ②    継続的な業務改善、品質改善、リーンシックスシグマを実行する  ③    企業カルチャー、人々の行動や態度をより良いものにする  具体的には、①はオペレーション(業務)システムの改善、②は継続的改善(手法・ツール)の仕組み作り、③業務変革を実行する人財/カルチャーの育成です。どの企業でも良い部分はたくさんあります。個々の企業や組織の強みを活かしながら、これら3つをバランスよく強化することをお勧めします。  3つの要素をそれぞれ磨いていくと、卓越した業務を行うことができ、顧客からみた企業価値が向上する。図のように視覚化して示すと理解はしてもらえるのですが、現実を知っている皆さんからは「コンセプトは分かるけど、実行は難しい」との声が出ます。またOPEXらしきもの、シックスシグマは過去に取り組んだけど上手くいかなかったと話される方もいます。  実際にGoogleでシックスシグマと検索すると、ネガティブな書込み、難しいとのコメントがあります。何でも検索できる時代で、それらを否定するつもりはありません。一方で初期のシックスシグマ手法は、時代とともにオペレーショナルエクセレンスへと、そのやり方が変化しています。時代の要求に伴いアップグレードしています。これも「変化に対応する」です。OPEXは手法であり、自社、自分の業務に合う部分を見つけて活用するものです。  いろいろな企業変革手法がありますが、突き詰めるとどの手法も似ています。体系的に、最も多くの業態、業種に適合できるのがOPEXです。目的は企業価値の向上で、OPEXはそのためのツールです。  

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2022/06/24 品質システム

「モノづくり」の現場で展開される小集団活動とは。

医薬品のモノづくりの歩み【第7回】

「モノづくり」の現場で展開される小集団活動とは  小集団活動とは、第一線で働く従業員全員が、小グループに分かれて、企業や現場で発生している様々な課題や問題をテーマに取り上げ、創意工夫により解決していこうとする自主的な改善活動と定義付けられますが、小集団活動には、その進め方がほぼ同じであることから、取り上げるテーマによって、いろいろな名称で呼ばれています。  前回でも触れましたように、「モノづくり」の重要要素ごとに、品質をテーマに取り上げた活動は「QCサークル活動」と呼ばれます。設備の安定稼働による安定供給を取り上げた活動は「TPM活動」、原価に関係するテーマを取り上げた活動は「改善活動」あるいは「原価低減活動」と称する活動があり、安全衛生に関係するテーマを取り上げた活動には「KYT活動」があります。いずれも、全員参加で小人数のグループに分かれて活動していくことから「小集団活動」として捉えることができます。 [https://fs.one-cmp.com/GMP_art_hishida_20220624_1_e94288d94b.PNG] 図―1 テーマごとに展開される小集団活動の名称  そもそも小集団活動とは、従来の組織や職制ではなかなか眼の届かない、職場の細かい問題や課題に対して、同じ職場の仲間が数名集まって、一つの検討チームを作ります。そして、そのチームメンバーひとり一人の役割分担を明確にして、ちょっとした仕事の合間や就業時間後の短い時間を活用して、上司や管理者の指導・助言を受けながら、直接仕事に携わっているメンバーの知恵を絞って解決していく活動のことを言います。  そのような小集団活動は、「モノづくり立国」である日本で生まれた活動が多く、その代表的ともいえるQCサークル活動は、戦後間もないころの日本製の「安かろう・悪かろう」の悪いイメージを払拭するために、品質管理の技術を導入すると共に、製造する現場では、  ▹ 品質第一への現場力(問題解決能力)の向上  ▹ 顧客満足の向上  ▹ 従業員の「モノづくり」に対するやりがいと一体感の醸成 などを目的として、小集団によるQCサークル活動が始まりました。その継続的な品質改善の取り組みにより、それまでの日本の品質に対するイメージが、高品質で付加価値の高い日本製品のブランドイメージに多きく貢献することになりました。  ただ、最近では、QCサークル活動を取り巻く環境も変化し、それまでの画一的な活動の進め方から、各々の企業や製造現場の状況に併せて、柔軟に活動を展開することが必要になってきたと思われます。(表―1) 表―1 QCサークル活動を取り巻く環境変化 [https://fs.one-cmp.com/GMP_art_hishida_20220624_2_e93d6e2f1b.PNG]  

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