執筆者関連書籍「医薬品製造におけるモノづくりの原点と工場管理の実践」
BSCとKPIマネジメント(5)
これまで、BSC※について話を進めてきましたが、今回からKPIについて少し内容を掘り下げて解説し、最終的には工場管理に役立つKPIマネジメントについて具体的に紹介していきたいと思います。
※BSCとは「Balanced scorecard」の略で、ビジョンと戦略を明確にすることで、財務数値に表される業績だけではなく、財務以外の経営状況や経営品質から経営を評価し、バランスのとれた業績の評価を行うための経営マネジメント手法のことを言います。(医薬品製造のモノづくりの歩み第39回参照)
さて、KPIについて読者の皆さんは、どのようなイメージをお持ちでしょうか？
BSCにおけるKPIを意識しなくても、生産部門あるいは工場では、古くからKPIに該当する多くの指標を用いて管理してきました。特に「モノづくり」の基本要素である品質、コスト、安定供給では、それぞれクレーム発生率、改善活動の成果を表す製造原価管理、納期達成率など、以前から‶現場業務管理″の指標として使われてきました。ただ、ここで問題となるのは、その指標を該当部署のマネジメントに、あるいは工場マネジメントにどのように活用してPDCAサイクルを回してきたかにあります。それぞれのKPIは何の業務を評価するのか、その目的と定義を明確にして、結果に対する客観的な判断ができるものでなくてはなりません。
そこで、この連載の中では、KPIとは、KGI※との関係性、一つひとつのKPIの定義、そして最後にKPIマネジメントについて順に話を進めていきます。
BSCにおけるKPIを意識しなくても、生産部門あるいは工場では、古くからKPIに該当する多くの指標を用いて管理してきました。特に「モノづくり」の基本要素である品質、コスト、安定供給では、それぞれクレーム発生率、改善活動の成果を表す製造原価管理、納期達成率など、以前から‶現場業務管理″の指標として使われてきました。ただ、ここで問題となるのは、その指標を該当部署のマネジメントに、あるいは工場マネジメントにどのように活用してPDCAサイクルを回してきたかにあります。それぞれのKPIは何の業務を評価するのか、その目的と定義を明確にして、結果に対する客観的な判断ができるものでなくてはなりません。
そこで、この連載の中では、KPIとは、KGI※との関係性、一つひとつのKPIの定義、そして最後にKPIマネジメントについて順に話を進めていきます。
※KGIとは「Key Goal Indicator」の略で、重要目標達成指標のことであり、ビジネスのゴールの指標のことを言います。組織全体の最終目標を数値化したもので、組織のビジョンに基づく全社的な目標のことです。（医薬品製造のモノづくりの歩み第41回参照)
まず、改めてKPIとは、なんであるか思い描いてみましょう。
KPIとは、‶Key Performance Indicator″の略で、日本語では重要業績評価指標と言います。目標達成までの過程の指標で、具体的には、以下のような性質を持っています。
KPIとは、‶Key Performance Indicator″の略で、日本語では重要業績評価指標と言います。目標達成までの過程の指標で、具体的には、以下のような性質を持っています。
⇒最終ゴールであるKGI達成に向けて、何をどこまでするのかの業務プロセスの目標
⇒目標の達成に向かってプロセスが適切に実行されているかを定量的に評価するための指標
⇒組織や個人の業績を評価管理するための指標
⇒各部署やグループ、または個人の行動レベルにまで落とし込んだ具体的な目標
⇒現場の従業員にとって身近で普段の業務において意識しやすい目標
そして、KPIを活用するメリットを医薬品の「モノづくり」の視点で挙げますと、まずは、現場の状況を定量的に評価して、問題点を改善に繋げていき、その成果を数字で客観的に把握することができることにあります。特に、生産性の点でのロスやムダの削減だけでなく、品質や安定供給レベルの向上に向けた取り組みの成果を見える化することができます。工場で働く従業員にとっても、普段の業務において、身近で意識しやすい指標であり、数字をもとに「自分たちで考え、行動し、改善する」現場力強化だけでなくモチベーション向上にも繋がります。従って、KPIのメリットを引き出し、有効な指標として活用するためには、正しく、そして適切に設定することが大切になります。その設定方法で良く使われている考え方に「SMARTの法則」があります。
SMARTの法則は、表１に示したように、Specific、Measurable、Achievable、Related、Time-boundの頭文字を取ったものです。それぞれの意味を少し解説しましょう。１）
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