≪解説≫2025年 改正薬機法【第5回】
品質保証・安定供給・創薬環境の変革に対して企業として備えるべきこと
【第5回】令和7年改正薬機法の背景 ― なぜ、今この改正が必要だったのか(その4)
(前回からの続き)
パブリックコメントというプロセスなどを最大限に活用し、新たな規制を「義務」と「権利」の両面から捉えることで、企業として法令遵守を徹底するだけでなく、規制の変更を事業成長の機会へと転換させることが重要と考えます。
この情報戦略こそが、これからの不確実な時代を乗り越え、持続的な発展を遂げるための強みとなるでしょう。
また、法律案の審議過程では、衆参議員ともに与野党から様々な懸念や意見が出されます。
例えば、「この条文は素晴らしいが、運用次第では国民の権利を過度に制約するのではないか」「この制度を導入するのは良いが、中小企業への配慮が足りないのではないか」といった意見などです。
こうした懸念や要望を、法律の条文そのものを修正するのではなく、「附帯決議」という形で盛り込むことで、法案成立に向けた合意形成を図るという側面もあります。
今回の薬機法改正でも衆参両議院より附帯決議が示されています。
附帯決議とは?
附帯決議とは「法律の施行にあたり政府が留意すべき事項を示した『国会から政府への要望』」に当たります 。
国会(衆議院や参議院の各委員会)が法律案を可決する際に、その法律の運用や解釈、今後の課題などについて、政府(法律を執行する省庁など)に対して行う意見表明や要望をまとめたものと言えるでしょう。
附帯決議には、法的拘束力はありませんが、強い政治的・行政的影響力を持つものです。つまり、決議の内容を守らなかったからといって、直ちに違法となるわけではありません。しかし、これは立法府(国会)が、行政府(政府)に対して「この法律を成立させるにあたり、これらの点には特に注意して運用してください」と公式に釘を刺すものであり、通常は、政府はその内容を最大限尊重します。
また、今後の政省令やガイドライン策定の「指針」となります。
法律の条文は骨格を定めるものであり、具体的な運用ルールは、その後に策定される政令、省令、通知、ガイドラインなどで詳細に定められます。
附帯決議は、これらの下位法令や運用ルールを作成する際の重要な「指針」となり、行政は、附帯決議の趣旨を反映させる形で、具体的な制度設計を進めるのが通例です。
~両院共通の主要項目~改正法の適切な運用に向けた基本方針
衆参両院の附帯決議では、今回の改正における主要な制度について、その慎重かつ適切な運用を求める点で基本的な方向性は一致していると考えます。
例えば、以下のとおりです。
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