【2025年7月-②】医薬品品質保証こぼれ話 ~旅のエピソードに寄せて~
執筆者の連載をまとめた書籍を発刊「医薬品品質保証のこぼれ話」
第17話:自信をもつことの大切さ!
6月(2025年)の半ば、京都コンサートホールでクラシックコンサートを聴く機会がありました。このコンサートホールは地下鉄烏丸線の北山駅から直ぐの至便な場所に位置し、隣には京都府植物園があります。今回はじめて足を運びましたが、客席が舞台を囲むように配置された欧米によく見られるシューボックス型のコンサートホールです。このコンサートで、私が所属するアマチュアオーケストラ(K響)のフルート奏者がビゼー作曲「アルルの女」のメヌエットを独奏(ソロ)し、その軽快で美しい音色が素晴らしいホールの隅々まで響きわたり、暫しの至福の時間を過ごすことができました。
K響には常にフルートのソロを演奏する名手がいることから、今回ソロを演奏した奏者は普段はどちらかというとあまり目立たない存在ですが、このコンサートで、ほかの楽器の音がほとんどない状況下、ハープに合わせ軽快に演奏を続ける姿に感動し、聴きながら彼女の日ごろの地道な努力に思いを馳せました。ちなみに、この演奏会の一週間前にはK響のコンサートがあり、勿論、それにも彼女は出演しました。ほぼ同じタイミングで、二つの本格的なクラシックコンサートに出演することは想像もつきません。
今回、ソロ演奏それ自体への感動に加え、彼女の演奏する姿を見て一番感心したのは、この大きなコンサートホールで、ほぼ満席の大勢のお客様が注目する中、なぜあれほど冷静に一点のミスもなく、軽快かつ朗々と、自ら楽しむように演奏ができたのかという点です。見ていると、いとも簡単に演奏しているように見えましたが、その背景には、日ごろの厳しい練習に裏打ちされた“自信”があったに違いありません。普段多くは語らない彼女の心の奥に秘めた情熱と、それに根差したたゆまない練習から得られた“自信”が、そこにはあったのだと推察します。
“自信”は音楽活動に限らず、あらゆる事柄に対する積極的な活動の源であり、人は、自信がない場合は何事につけポジティブに行動することができません。このことを、組織の活性化や企業等の発展という観点から考えると、経営陣や管理者は職員の皆さんが自信をもって業務に取り組めるよう、最大限の配慮を行い育成するという視点が大切になります。職員の皆さんの多くが自信に溢れ業務に取り組むことができれば、組織は自ずと活性化され発展するはずです。逆に、自信に欠ける人の多い職場では、業務が円滑に進捗しないだけでなく、人間関係などにも支障を来す可能性が高まるでしょう。
理由は簡単です。業務スキルに長け、人間性に優れる“自信のある人”の多い職場(組織)では、概ね、業務は円滑に進みますが、逆の場合は、必然的に何かとうまく運ばないことが多くなります。組織においては、事がスムースに運んでいるうちは、人は不満も少なく、笑顔も増え、職員間の衝突などもあまり起きません。しかし、思ったほど業績があがらない、トラブルが頻繁に発生する、プロジェクトの進捗が目標に対し大幅に遅れるなどの支障が出てくると、人は責任のなすりつけ合いを初め、随所に軋轢が生じるようになります。従って、どんな領域であっても、組織活動を円滑に進めるためには、この“自信のある人”を多く育てることが重要となります。(自信過剰は問題ですが)。
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