エッセイ:エイジング話【2025年7月】
微生物試験とTOC値
日本薬局方一般試験法に収載される<4.05>微生物限度試験は、①培養操作を伴う ②死菌殺傷菌を検出しない ③菌体由来微粒子を検出しない、という試験法上の制約が在ります。
この背景は、①増殖能力がある菌を検査対象とする、②殺菌された後の菌体へ言及しない、③飲料水中の微生物管理、が礎(いしずえ)ではないかと考えます。
端から、Water for pharmaceutical use 中に微量だが存在している微生数をTOC値によって、大括り数えようとする取り組みへは困難が伴うと苦慮しました。
これは、水質検査に係わった人の共通認識でも在ったと思います。なぜならTOC測定は環境水を汚染させる有機物を包括的に捉えるパラーメーターとしての利用に端を発しているからです。
日本薬局方に<2.59>有機体炭素が収載された時、この試験法収載検討に参加したSIMAZUさんから聞きましたが、BOD,CODによる環境水汚染を検出する際の不確かさを「TOCにより解決しようとした」背景が在るのです。

また、Water for pharmaceutical use 配管中の微生物の挙動は外部から想像するのと大きな隔たりが在るのではと認識します。
EMAが2017年に発信したNon distillation method に対するBio film発生への数々の懸念は、Purified water 製造用に偶々ROモジュールを使用した時の想像域を脱していないと考えています。少なくとも日本の現場で、ROモジュールを使った現場体験から、この記述内容を読み違和感を持ちました。
翻って、EMA管轄では、日本で行なわれているような繊細な膜透過水側管理はなく、例えばRO装置が停止しても、溜水(たまりみず)は放置されていたのかも知れません。
一方で、TOCにより微生物数を把握しようとする考えは、RTR : Real time releaseが水質管理に普及する段階で3極薬局方上の1つのテーマだったと振り返ります。
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