2019/11/29 品質試験

QCの役割を徹底理解【番外編】

 いろいろなところで仕事をしていて感じることが、QCが力を落としていることです。2005年に製造と販売に分けられ、製造所を持たなくても医薬品の製造販売承認書のホルダーになれるようになりました。  それを受けて、多くの会社が製造を別会社にしました。その主な目的は賃金を下げることができるようにし、コストダウンを図るためでした。また、それをしない会社も多くの製品の製造を他社に製造委託をするようになりました。それは製造コスト削減のためです。  それから14年が経過しました。何が起きているのでしょうか?   製造を知らない製造販売会社が増え、製造と販売を分けた当初は製造販売会社にも製造を知っている人が多くいました。ところが知っている人がどんどん減ってしまいました。製造販売会社は製剤設計までは知っているが、実際の製造は受託会社に移ってしまっています。  品質保証でも同じことが起きています。実際の製造を知らない人が品質保証を行うようになっています。ある大手の会社は市場出荷を本社で行っています。製造所から逸脱報告があると、その報告書に書かれている“言葉”の意味がわかりません。またそこに書いてある“製造機械”がわかりません。それで品質保証ができるのでしょうか? 品質は現場で造り込まれています。現場を知らずに品質保証はできません。コスト削減で得たものとは製造がわからないで品質保証を行っている状況です。  同様のことが品質管理(QC)でも起きています。製造販売会社は製造と同様QCを知らない、試験についてわからない人が増えています。かつ、試験は外部試験機関に委託できるため、製造所においてさえも、試験を知らなくなってきています。  製造所にQCを持っているところでも、派遣やアルバイトを試験者として採用し、その新人に教育訓練を行っています。、しかし短期間で退職してしまい、また新人を教育訓練をしますが、また退職していくというアリジゴクに陥っている製造所も増えているのではないでしょうか?   「世界史の極意」佐藤優著を読んでいたら、下記の文書がありました。 労働力の賃金 1)労働者が次の一か月働けるだけの体力を維持するに足るお金 2)労働者階級を再生産するお金。つまり家族を持ち、子どもを育てて労働者として働けるようにするためのお金が賃金に入っていないといけません。 3)資本主義社会の科学技術はどんどん進歩していきますから、それにあわせて自分を教育していかなければいけない。そのためのお金。  この考え方はマルクスの最大の貢献でした。 これをQCに当てはめると下記になります。 1)    試験者がGMPで必要な試験を行えるだけのリソース 2)    試験者が新人に教えて試験ができるようにするための教育訓練のリソース 3)    試験者が新しい技術やQCに関する知識を高めていき、今の仕事を改善していくためのリソース

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2019/10/25 品質試験

QCの役割を徹底理解【第10回】

日局品の保証について ・GMP許可のある製造所で製造/出荷&COA ・原薬がGMPでない場合は、転用理由を出す ・添加剤で日局品でない場合は、製造所で日局試験により適合すれば日局品として使ってよい。ただし、当局は最近、日局品があればそれを購入するように指導している。 公定書への新規収載について 別紙規格だと、ユーザーが様々な規格で申請している場合があります。そこで日局/薬添規に新規収載することで、規格を1本にできます。 公定書の変更について 公定書の変更は、業界を通して提案するか当局に直接提案することで可能になります。ただし、それを当局が受けるかどうかは別の話になりますが。 日局収載基準(過去と今は異なる)について  含量均一性試験が入っている(今の基準では不要)場合、業界を通してまたは直接提案すれば重量偏差試験へ変更可能になります。ただし、提案した会社がデータの提供などをする場合があります。 日本薬局方標準品について 日本薬局方に規定された試験に用いるために一定の品質に調製されたもの 1)厚生労働大臣の登録を受けた者が製造する標準品 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団(旧日本公定書協会) 2)国立感染症研究所が製造する標準品 日局に収載された場合、試験において標準品が必要な場合は登録されて販売されます。医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団が日局標準品を販売しています。日局に収載されていない場合は、製造販売承認書(未日局収載品)に標準品の規定が明記されています。 従来は原則として含量(純度)を表示していなかったが、現在は純度が表示されています。当時公定書協会に尋ねたら、99.5%未満の場合にはその純度が表示しているとのことでした。含量算出にはその純度で補正する旨が標準品に明記されています。 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 https://www.pmrj-rs.jp/faq/#sec-keeping [https://www.pmrj-rs.jp/faq/#sec-keeping](参照2019-09-12) より 定量的試験に用いる標準品については、日局各条の含量規格値が有効数字3桁で規定されているとき、標準品の用途である試験法を考慮した純度が99.5%未満の場合、補正係数として有効数字3桁で表示します。また、生薬成分標準品など、日局各条の含量規格値が有効数字2桁で規定されているとき、標準品の用途である試験法を考慮した純度が99.0%未満の場合、補正係数として有効数字2桁で表示します。 ただし、一度補正係数を表示した標準品については、ロット更新によって純度が向上して99.5%あるいは99.0%以上となっても、補正係数の表示を継続しています。そのため、99.5%以上の純度(例えば「補正係数0.997」)が表示されている標準品もあります。 また、第十七改正日本薬局方第一追補以降に新規に設定された標準品については、定量的試験に用いる標準品すべてについて補正係数を表示しています。 [問]GMP8-21(標準品等) 医薬品・医薬部外品GMP省令第8条第3項の品質管理基準書の記載事項としての一部改正施行通知第3章第3の8(10)コの「試験検査に用いられる標準品及び試薬試液等の品質確保に関する事項」を記載する上での注意事項を示してほしい。 ⇒ [答]標準品及び試薬試液等が、適切に管理されるために必要な事項について、あらかじめ明記しておくこと。具体的には例えば以下の事項が挙げられる。 1.標準品及び試薬試液は、手順書に従って調製され、表示がなされ使用期限が適切に設定されること。 2.いわゆる一次標準品の供給者についてあらかじめ文書により定めること。一次標準品についてあらかじめ定められた手順に従って使用及び保管を行い、記録を作成すること(公式に認められた供給者から入手した当該承認書の規定に適合する一次標準品は、当該供給者の定めた手順に従って保管される場合には、通例、試験検査を行うことなく使用に供することができる。)。 3.公式に認定を受けた供給者から一次標準品を入手することができない場合には、「自家製一次標準品」を設定すること。「自家製一次標準品」については、同一性及び純度を立証するために適切な試験検査を行い、記録を作成し、これを保管すること。 4.いわゆる二次標準品については、入手又は調製、試験検査、承認及び保管を適切に行うこと。二次標準品の各ロットが適切なものであるか否かについて、その初回使用前に一次標準品との比較により明らかにすること。 二次標準品の各ロットはあらかじめ定められた実施計画書に従って、定期的に適格性を再確認すること。  日局標準品は二次標準品を作成して使うことが認められています。ただし、1回/年程度、日局標準品とのトレーサビリティを確認しておいた方がよいと思われます。  日局標準品を使い年間100~200万円購入している製造所もあります。Q&Aで日局標準品の二次標準品を作成することは認められているので、それを作成し、日局標準品に使っている費用削減もQCの業務の一つであると思います。QCも製造所の重要な組織です。製造所において医薬品の①品質の確保②タイムリーな供給(欠品回避)が重要課題です。それを継続していくためにはコスト削減も重要な課題になります。  ある製造所では日局標準品を一年分購入していました。欠品を恐れての対策のようです。日局標準品には使用期限が記載されていません。前に公定書協会時代に、日局標準品の使用期限を尋ねたことがあります。返答は「速やかに使ってください」とのことで、「速やかとどのくらいですか?」と再度尋ねても使用期限については言及されませんでした。速やかとは1か月くらい、長くても~3か月以内ではないでしょうか? 日局標準品は7日以内に発送されるとのことですので、それ以上になると、その日局標準品が安定であるとの根拠データが必要になります。しかし、そのデータを取っていませんでした。

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2019/09/27 品質試験

QCの役割を徹底理解【第9回】

 検査部(現品質管理部:QC)に配属され、製品試験検査を担当しました。試験をしようと思うと、試液の調製は日局参照になっています。日局とは何だろう?と思い、先輩に尋ねました。薬学部ではなく理学部化学科出身だったので、日局を知りませんでした。先輩いわく「日局とは日局だよ」と。意味が分かりません。それでもう一度尋ねました。「だから何ですか?」。先輩の返答は「日局とは日局だよ」とまるで禅問答のような、よくわかりません。  QCに配属されましたが、公定書についてきちんと教えてもらう機会はありませんでした。それをようやく理解したのは、本社のQA(品質保証部)に異動し、東京医薬品工業協会(東薬工)の技術委員会(現局方委員会)に常任委員として参加し、日本薬局方、局外規、薬添規について学ぶ機会があったのです。私は日本薬局方外医薬品規格(局外規)の委員を担当しました。  公定書として思いつくものには何があるでしょうか? 医薬品; ・日本薬局方(日局) ・医薬品添加物規格(薬添規) ・日本薬局方外医薬品規格(局外規) ・医薬品添加物事典(添加物辞典) 食品; ・食品添加物公定書(食添) 化学品; ・日本産業規格(JIS) その他に、毒薬/劇薬、毒物/劇物、向精神薬/覚せい剤/麻薬などもあります。 日本薬局方(JP)について 「日本薬局方」ホームページ より https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066530.html [https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066530.html](参照2019-09-12) 「日本薬局方は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書です。日本薬局方の構成は通則、生薬総則、製剤総則、一般試験法及び医薬品各条からなり、収載医薬品については我が国で繁用されている医薬品が中心となっています。」 医薬品添加物規格 2018 について 薬生発0329第1号平成30年3月29日 厚生労働省医薬・生活衛生局長 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/300329yakutenki_1.pdf [https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/300329yakutenki_1.pdf](参照2019-09-12) 「日本薬局方に収載されていない医薬品添加物の規格については,従来,「日本薬局方外医薬品成分規格」に収載されてきたところであるが,平成 5 年にこれを「日本薬局方外医薬品規格」及び 「医薬品添加物規格」に分け,医薬品添加物の規格を「医薬品添加物規格」に収載することとし,「医薬品添加物規格1993」を定めた.」

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2019/08/23 品質試験

QCの役割を徹底理解【第8回】

2005年の薬事法改正により、製造販売業と製造業が分離されました。 薬事法改正の概要と業界 ―国民に与える影響について―(製薬協HPより) http://www.jpma.or.jp/event_media/forum/repo_05.html [http://www.jpma.or.jp/event_media/forum/repo_05.html](参照2019-08-16) ●製造販売業と製造業への分離  従来は「製造業許可」「製造承認」「品目追加許可」の3条の各要件を満たしていれば、製造した医薬品を世に出すことができました。(2005年)4月からは「製造業許可」が「製造販売業許可」と「製造業許可」に分かれることになり、前者の許可は本社で取り、後者の許可は工場ごとに取るとこになりました。そして、出荷と製造の機能が分離されることになります。  「製造承認」と「品目追加許可」は「製造販売承認」に一本化され、品質、有効性、安全性、製造管理、品質管理などまとめることになりました。また外国製造業者の認定も今回の改正で盛り込まれ、国が認定することになりました。  この改正はGMPに大きなインパクトを与えました。これまで、医薬品の承認取得にはGMP/品質保証はほとんど関与できず医薬品の承認取得と製造許可は別でした。ところが製造販売業と製造業の分離に伴い、製造販売承認書に製造場所/保管場所/外部試験機関を記載することになり、また詳細な製造方法も記載することになりました。原薬の承認制度もなくなり、製剤の承認書に原薬についても記載することになりました。原薬の製法が特許などにかかわっている場合はMF制度では詳細な製造方法を製造販売会社に提供しなくてもよくなりました。  大きなインパクトは二つです。 1)製造販売承認書との齟齬が生じるようになった。それによる製品回収が起き   ている。 2)新製品が承認される前に、その製品を製造する製造所にGMP適合性調査が入   り、それに適合しないと承認されない(承認が遅れる)。また、その時に   GMP不備等が見つかると、その製造所で製造している他の製品にまでその不   備が広がっていると、その製品の回収、原薬であればその原薬を使った製品   の回収が起きている。 今回は2)について実際の例などを紹介します。

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2019/07/26 品質試験

QCの役割を徹底理解【第7回】

 医薬品の製造にはGMP省令が求められています。また、医薬品は日局などの公定書に収載されるか、または製造販売承認書を取得しています。そのため、その両者の要求事項に合致しておく必要があります。 1)GMP省令の要求事項に合致 2)製造販売承認書に合致  1)に合致しているかどうかは、PMDAや県によるGMP適合性調査で確認されます。合致していないと、改善指示があります。最近では合致していないため、その影響を受けたと思われる製品回収(PMDAや監麻課の意向であっても企業の自主回収との位置付け)が起きています。また新製品の承認が遅れたりしています。  2)に合致しているかは当局の査察で発見される、企業が自主的に申し出る、新製品の調査で見つかるなどにより、製造販売承認書との齟齬として問題になっています。これも内容により、製品回収や改善命令が出されることがあります。製造販売承認書と実態が合致しているかは製造販売業者の責任になっていましたが、今検討されているGMP省令の改正案ではその責任を製造業者のGMPにも求めています。  ここでレギュレーションについて考えてみます。 制定/改訂 国会  内閣  各省大臣       局/課長 憲法   法律  政令  省令 告示 通知  事務連絡  指摘事項    薬機法  GMP/GQP省令  GMP施行通知 PMDA/県                 薬事法施行令  日本薬局方(JP)   PIC/SGMP            薬事法施行規則  原薬GMP  事例集  FDA  ICHQ8,Q9,Q10、PIC/S GMPガイドライン、事例集は事務連絡で出されており、法的な拘束力はありません、品質に問題があるとそれに基づいた同等の対応が求められます。またPMDAや県の指摘事項に適切な対応ができていないと、新製品の承認が遅れたり、製品回収になっています。  どこまでが法律かの議論は分かれますが、官報告示されているJPまでは法律と考えるのが一般的です。なぜなら、JPに誤記があった場合、官報告示での訂正が必要になります。一方、通知は局/課長が出しているだけですので、局/課が自由に取り扱うことができます。 極論を言えば、通知、事務連絡に従わなくても罰せられません。ただ、それに合致していないと、製造業の許可が下りない、また停止させられることなどが起きますので、結局それに従うことが必要になります。  日本国憲法が一番上位に存在しています。そして国会で策定される法律があり、その一つに薬機法があります。この薬機法が医薬品にとっての一番上位に位置しています。薬機法の目的を見てみたいと思います。

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2019/06/28 品質試験

QCの役割を徹底理解【第6回】

バラツキから眺める統計手法(管理図、工程能力指数) 管理図;  管理図は、3σ管理です。基本は3σ内にあれば、工程は管理されている、3σを外れると管理されていない、何か異常が生じていると考える管理手法です。統計/確率を理解していないと3σの管理幅から外れた場合は問題で、3σの範囲に入っていると問題ないと思ってしまうとそれは統計/確率思考が身に付いていません。管理図(3σ)内であっても違うことが起きている可能性もあります。逆に管理図外でも問題がない場合(0.3%)もあるという前提での管理なのです。 工程能力指数;  品質管理の分野において、ある工程の持つ工程能力を管理幅に対して定量的に評価する指標の一つです。 Cp=規格幅/6σ Cpk=|(規格値上限-平均値)/3σ, (平均値-規格値下限)/3σ| のどちらかの小さい値 規格幅(上限と下限の幅)   工程能力指数   管理状況  4σ(片側2σ)                        0.67     ×  6σ(片側3σ=3σ管理)           1.0      △   8σ(片側4σ)                        1.33     ○ 10σ(片側5σ)                        1.67     ◎  Cpは規格幅に対するバラツキの指標であり、CpkはCpに平均値の規格幅の中心値からのズレを反映したものになります。どちらも、規格幅に対するバラツキと平均値からの確率を表す指標となっており、値が大きいことは、規格幅に対して工程が安定していることを示しています。工程能力指数と3σを関係づけて理解することです。 管理図を使うか工程能力指数を使うか。工程の管理には管理図管理、製品品質照査やOOTの設定は規格値との関係が重要ですので工程能力指数のCpkで考察します。  バラツキを知ることは、その事象が起きる確率を予測することができるのです。OOTを3σ管理で行っているが、1/10~20回に1回OOTがでるので困っているとの話を聞くことがあります。これは統計/確率的な考え方ではその現象はおかしいことになります。なぜなら3σ外になるのは0.3%なのです。330回に1回起きる確率なのです。なぜこのようなことが起きているか? それは3σの値が不適切だからです。たまたま良かった/季節変動が入っていなかったなどの理由で3σの値が小さかったからです。その場合OOTを工程能力指数で考えると、Cpk>2.0だったりします。それであれば、3σでなく、4σまたは5σで管理すれば良いのです。確かに工程では何か3σからの違いが出ているのかもしれませんが、その変動は規格幅から考えたら微々たるものになります。重箱の隅を爪楊枝でつつくようなものです。意味のないことにエネルギーを費やしても品質保証には何のメリットもありません。逆にOOTが出ているのに、毎回「しばらく様子を見る」とのコメントを付記している方がGMP上問題になります。即ち、原因究明を行っていないことになります。仮に原因究明をして改善してもそのメリットは微々たるものです。それにエネルギーを費やすなら他にやるべきことがあるはずです。統計/確率の概念を知っていれば、全体を俯瞰し何が重要かを把握できるようになります。

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