製薬会社MRとは一体何か?【第23回・最終回】

No.23 MRという仕事に、誇りを持てた瞬間──現場で感じた3つのやりがい

GMP Platformでのコラム執筆も、今回で23回目を迎えました。

私は塩野義製薬のMRとしてキャリアをスタートし、その後、コントラクトMR、ヘルステック企業を経て起業。現在はYouTubeチャンネル「にしまファーマ」を運営しながら、医療系人材紹介会社の「にしまファーマ株式会社」を経営しています。

今回は、これまでMRとして経験してきた中で、心に残っている「やりがい」を感じたエピソードを3つご紹介したいと思います。MRという仕事は、外から見ると“営業職”のイメージが強いかもしれませんが、実際にはもっと奥深く、そして責任の重い役割です。そんな現場のリアルが少しでも伝われば幸いです。
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①「痛みが和らいで、笑顔が戻ってきた」──疼痛治療薬の導入から得たやりがい

あるとき、担当していた整形外科の先生から、雑談交じりにこんな話をされました。

「ここ数年、慢性の痛みに対応するのが難しくてね。鎮痛薬は効いてるようで効いてないことが多い。特に神経痛系は、患者さんも参ってる。」
そのとき私は、疼痛治療薬の担当をしていました。

その薬は、神経障害性疼痛にも効果が期待できる新しいタイプの治療薬で、ガイドラインにも掲載されており、日常診療での導入が徐々に進んでいるタイミングでした。

もちろん、その場では具体的な話までは進まず、私も「もしご興味があれば、製品概要の範囲で後日改めてご説明させていただきますね」と一歩引いた対応をしました。

翌週の訪問時、先生から「あの薬、ちょっと詳しく教えてもらえる?」と声をかけていただきました。

私はすぐに対応できるよう、添付文書やインタビューフォーム、関連学会の情報などを準備していたので、すぐに面談を調整しました。

副作用の傾向や投与初期の用量設定、既存薬からの切り替え時の注意点など、臨床判断に役立ちそうな情報を丁寧に整理してお伝えしました。

先生はうなずきながら「これ、ちょっと試してみようかな」と言ってくださり、後日、数名の患者さんで導入されたとのことでした。

そこから1か月ほど経ったある日。再訪すると、先生が少し柔らかい表情で話しかけてきました。

「この前の薬、患者さんに使ってみたんだけどね、効果出てきてるよ。特にあの患者さん…いつも痛みで顔をしかめてたんだけど、“痛みがやわらいできた”って。表情が穏やかになって、診察室で少し笑ったんだよ。」

続けて、先生はこう言いました。

 

 

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