Quality Culture【第2回】

"コトバンク(https://kotobank.jp/word/品質文化-23235 (参照 2020-02-14)より
「品質文化とは組織の行動規範として品質へのコミットメントが反映された文化を持つことをいう」。

 日本の品質文化の良さは、作業者一人ひとりが知識・技能を持ち、自らの意思で考え行動していくことではなかったでしょうか? GMPの性悪説とは真逆の性善説に基づいた文化です。現場のことは現場の人が一番よく知っており、ちょっとした改善が多大な成果(品質向上とコスト削減)を図ってきました。「現場力」が日本の品質向上の大きな原動力でした。

 日本の品質文化と品質管理を高めるのに大きな役割を果たしてきたのが、日本科学技術連盟(日科技連)だと思います。1947年にデミング博士が来日し、日本の品質向上の指導を受け、その後も継続して指導を仰ぎました。“デミング賞“という言葉を聞かれた方も多いかと思います。また、日本では石川馨先生が大きな指導力を発揮されました。日科技連は品質管理を学ぶセミナーを開催し、多くの卒業生を輩出し、その卒業生が会社に戻って品質向上に努めました。今も続いている品質管理の基本のセミナー”品質管理(QC)セミナー・ベーシックコース)は1949年に始まりました。この活動に多くの製造会社の人々が参加し、人材育成に大きく貢献、その修了生が日本の品質を高めていきました。

 私もQCベーシックコースを修了しました。当時は5日/月×6か月で、多くの宿題と試験で品質管理(主に統計、確率など)を学びました。学生時代に統計・確率は授業で学んでいましたが、何のためにそれが必要であるかがわからずに学んでいましたので、身に付きませんでした。  
 QCベーシックコースで学んだことがその後の品質管理/品質保証に大きく役立ちました。QCベーシックコース終了後、エーザイ株式会社の川島工場で全従業員対象に品質管理の研修を行いました。その時の小野里工場長が“研修元年”を打ち出され、品質をよくするには先ずは人の育成だということで、QCベーシックコースに2人を派遣しました。その一人に選ばれたのが私でした。QCベーシックコースで学んだことを講師として伝達しました。その後はQCベーシックコースに毎年1~2人を派遣しました。研修後、小集団活動がスタートし、さまざまな改善が動き出しました。研修を通じて、よい製品を患者様に提供していくためのノウハウを学び、品質向上に全員が取り組んでいきました。

 エーザイ株式会社において品質文化醸成に大きく貢献したもう一つの大きな活動は、hhc(ヒューマン・ヘルスケア)活動であり、エーザイ株式会社の内藤社長が大学や病院の先生方の力を借りて行いました。
 医療用医薬品は患者さんに使われますが、どの薬を使うかは医者の判断です。またどの薬を買うかも医者/病院の判断です。お金を払ってくれるのは医者/病院なのでついお金を払う人の顔を見がちになります。しかし、薬を処方されるのは患者さんです。hhc活動は”患者様とそのご家族の喜怒哀楽“を大切にして薬の研究開発、製造、販売を行いましょうとの目的であり、それを実現するための研修が始まりました。"

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