Quality Culture【第4回】

2020/04/24 品質システム

PMDAは無通行査察を一生懸命されているように感じています。なぜでしょうか?
 熊本県の化血研で承認書との齟齬がありました。40年も前から承認書と異なる製造を行い、20年以上の製造記録の偽造、偽証がありました。改善命令を出しました。厚生労働省のHPより下記を記載いたします。

違反事実 
① 承認書の製造方法と整合させた虚偽の製造指図書及び製造記録等を作成し、厚生労働省等の査察に対して、組織的欺罔及び隠蔽を図ってきたこと。   
② 厚生労働省が昨年9月1日に行ったワクチン等に関する報告命令に対して、適切な報 告を行わなかったこと。及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構による立入調査にお いて、虚偽の製造記録等を提出する等適切な対応を行わなかったこと。

 これは当局からの報告で、化血研としては異議もあるかと思います。また、齟齬に関しては最初齟齬の範疇でないことがだんだんと明確な齟齬に広がって行ったものだと思います。いわゆる“ゆでガエル”のような状況が起きていたのだと推測します。そしてだんだんと齟齬を隠すための隠蔽作業まで進んでいったのでしょう。かつ齟齬を言える風土でなくなり、それを言うと人事評価および人事権を持った人が違反を認めてい頂き、たのかもしれません。
 化血研さんは当初はさらに品質を良くしようと製造工程を改善されてこられたのだと思います。昔はそれが許されていました。ところがだんだん規制が厳しくなり、製造販売承認書に詳細な記載を軽微/一変で記載することになり、その改善にレギュレーション対応が必要になりました。つまり制度が変わったことで承認書との齟齬がより大きな問題となりました。血漿分画製剤などはその前にも大まかな製造方法が承認書に記載されていましたがそれがより詳細になりました。その制度への対応も十分でなかったことになります。かつ、その軽微/一変の判断基準も曖昧(当局としては明確、企業としては曖昧)で、「この程度の変更は記載しなくてよいだろう」と企業が判断したことを、当局がそれは「一変事項」と判断する齟齬がある制度でした。

 ここでは①偽造したこと、②偽証したことを取り上げています。
 この偽造/偽証は社員が独断で行ったのでしょうか?少なくとも理事/部長レベルの指示があったと考えるのが妥当です。社訓には「偽造してよい/偽証してよい」とあるでしょうか? 
 製造販売承認書と製造法が異なっていることは確かに問題ですが、
平成17年2月10日  薬食審査第0210001号
改正薬事法に基づく医薬品等の製造販売承認申請書記載事項に関する指針について
この通知で記載になり、齟齬が生まれるきっかけになりました。

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執筆者について

脇坂 盛雄

経歴 1979年エーザイ株式会社入社、9年間、品質管理と21年間、品質保証を担う。
専門領域はGQP品質保証、注射剤及び固形剤の異物対応、品質リスクの発見と低減対応 ・医薬品/食品の表示校閲、製品回収リスク回避対策 ・逸脱/苦情対応、変更管理(一変/軽微変更)対応。品質保証責任者(品責)、統括部長および理事を歴任し、2013年9月末に退職。
現在は企業のコンサル・顧問を行う傍ら講演会講師、書籍執筆などを精力的に行っている。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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