≪解説≫2025年 改正薬機法【第6回】
品質保証・安定供給・創薬環境の変革に対して企業として備えるべきこと
【第6回】改正薬機法の主要なポイントと実務への影響(その1)
それでは、公布された改正法の主要な内容について、特にGMP/GQPの観点から重要となる項目を中心に、その内容と企業が取るべき対応について解説します。
なお、令和7年1月10日「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」を踏まえてのものとなります。
1.医薬品等の品質確保及び安全対策の強化
令和7年改正薬機法では、特に「医薬品等の品質確保及び安全対策の強化」に関する部分は、近年の品質問題を背景とした行政の強い意志の表れであり、全ての製造販売業者・製造業者にとって重要な検討課題と言えます。
今回の法改正における品質・安全対策強化の動きは、「令和元年改正法の評価と残存する課題」と「市販後安全対策の新たな課題への対応」という、過去と未来を見据えた大きな二つの要素に基づいて行われています。
【令和元年改正法の評価と残存する課題】
令和元年改正薬機法では、企業における法令遵守体制の整備義務化や、虚偽・誇大広告に対する課徴金制度の導入など、企業のガバナンス強化に向けた重要な一歩が踏み出されました。
しかし、その後も、特に後発医薬品の製造業者等を中心として、承認書との不整合やデータインテグリティの欠如といった不適切製造事案が後を絶ちませんでした。
結果として、行政は「薬事監視の質的向上」、すなわち、より効果的でリスクに応じた査察・指導体制の構築と、「包括的な取組み」、つまり法律・制度面からのより直接的な介入が必要であるとの結論に至っています。
この「過去の教訓」こそが、今回の規制強化の直接的な引き金となっています。
【市販後安全対策の新たな課題への対応】
日本としても変化する創薬環境への対応を迫られていました。
審査の迅速化が進み、先駆的医薬品指定制度などが活用されることで、より早期に革新的な医薬品が承認されるようになりました。
その一方で、これは承認時点で得られている安全性情報が従来よりも限定的であることを意味します。
また、抗体医薬や核酸医薬、遺伝子・細胞治療製品といった新規モダリティの増加により、従来の低分子医薬品とは作用機序やリスクプロファイルが大きく異なってきています。
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