EU-GMP Annex 15: Qualification and Validation 改定案に対するコメント(2)
本連載では、EU-GMP Annex 15のドラフト版に対する、GMP Platform(GMPP)の考え方を、条文ごとにコメントして行きます。引用した条文の翻訳は青字ゴシックで、GMPPのコメントは黒字明朝で表しました。あくまで、GMPPとしての解釈です。皆様のご指摘・ご質問・ご討論をお待ちしています。
※ご意見はこちらのフォームをご利用し、お送りください。
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1. ORGANISING AND PLANNING FOR QUALIFICATION AND VALIDATION
/クオリフィケーション・バリデーションに対する組織と計画
1.1. 全てのクオリフィケーション・バリデーション活動は、装置とプロセスと製品のライフサイクルを考慮して計画すること。
1.2. バリデーション活動は、適切に訓練された職員により、承認されたバリデーション手順書に従って実施すること。
1.3. 報告は必ずしも品質マネジメントや品質保証の機能とする必要はないが、バリデーションを担当した職員は、医薬品質システムに規定されたように報告すること。ただし、品質マネジメントや品質保証の機能として、バリデーションのライフサイクル全体を通して適切に監視すること。
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ここではライフサイクルという文言が入っており、ICHのQ-トリオ(Q8、9、10)やFDAの改正プロセスバリデーションガイドライン(2011年)が意識されています。
医薬品品質システムに、バリデーション実施手順や報告手順の規定を含める必要があることは明らかです。バリデーションは、製造工程の確立、施設の建設、設備の更新、製法変更等、いずれの段階でも専門知識を持った実務担当者が実施し、報告書を作成することになりますが、極端な場合、例えば設備建設やコンピュータ化システムの導入に際しては、社外の専門家がクオリフィケーションの計画や報告書の作成等を担当することも考えられます。このような場合でも、実務担当者に任せきりにするのではなく、適切な段階で品質保証部門によるレビューと、品質保証部の責任者の承認が必要になります。
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1.4. 各製造サイトのバリデーション計画のキーとなる要素は、明確に規定しバリデーションマスタープラン(VMP)あるいは同等の文書に記載すること。
1.5. VMP は、短く、簡潔に、明確に、少なくとも以下のデータを記述したサマリー文書であること。
a. バリデーションポリシー
b. バリデーション活動の組織
c. 施設、システム、装置、工程の概要及びバリデーションの現状
d. プロトコール及び報告書に使用する書式
e. 計画立案及びスケジューリング
f. バリデーションに関わる変更管理及び逸脱管理
g. 受入基準の取扱
h. 既存の文書の参照
i. 要求されるリソースの評価
j. 適切な場合、再バリデーション・クオリフィケーションを含む、オンゴーイングバリデーションの戦略
k. バリデーションに使用する原材料が要求された品質であり、サプライヤが適切なレベルで適格性評価されていることの確認
1.6. 大規模で複雑なプロジェクトクトに対しては、計画立案がさらに重要になり、別のVMPを作成することが必要になる場合もある。
1.7. バリデーション活動に対しては、開発段階や市販段階で実施した変更等を通じて得られた知識や理解に応じて、繰り返しリスク評価を実施する品質リスクマネジメントの手法を用いること。バリデーション活動を裏付けるために用いられたリスク評価の方法は、明確に文書化すること。
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不明確だったVMP作成の目的やその内容が明確にされています。バリデーションを実施する前に、原材料のサプライヤを含め、製造に使用するリソース、すなわち、プロセスを構成する要素、製造方法・原材料・設備機器・作業者の評価が完了していることが要求されています。
バリデーション活動にも、ライフサイクルを考慮したリスクマネジメントの手法を用いることが明記されました。開発過程や商業生産過程を通じて蓄積した経験や知識を活用して、リスク評価を繰り返し、再バリデーションや変更バリデーションの実施項目に反映させることも要求されています。
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1. ORGANISING AND PLANNING FOR QUALIFICATION AND VALIDATION
/クオリフィケーション・バリデーションに対する組織と計画
1.1. 全てのクオリフィケーション・バリデーション活動は、装置とプロセスと製品のライフサイクルを考慮して計画すること。
1.2. バリデーション活動は、適切に訓練された職員により、承認されたバリデーション手順書に従って実施すること。
1.3. 報告は必ずしも品質マネジメントや品質保証の機能とする必要はないが、バリデーションを担当した職員は、医薬品質システムに規定されたように報告すること。ただし、品質マネジメントや品質保証の機能として、バリデーションのライフサイクル全体を通して適切に監視すること。
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ここではライフサイクルという文言が入っており、ICHのQ-トリオ(Q8、9、10)やFDAの改正プロセスバリデーションガイドライン(2011年)が意識されています。
医薬品品質システムに、バリデーション実施手順や報告手順の規定を含める必要があることは明らかです。バリデーションは、製造工程の確立、施設の建設、設備の更新、製法変更等、いずれの段階でも専門知識を持った実務担当者が実施し、報告書を作成することになりますが、極端な場合、例えば設備建設やコンピュータ化システムの導入に際しては、社外の専門家がクオリフィケーションの計画や報告書の作成等を担当することも考えられます。このような場合でも、実務担当者に任せきりにするのではなく、適切な段階で品質保証部門によるレビューと、品質保証部の責任者の承認が必要になります。
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1.4. 各製造サイトのバリデーション計画のキーとなる要素は、明確に規定しバリデーションマスタープラン(VMP)あるいは同等の文書に記載すること。
1.5. VMP は、短く、簡潔に、明確に、少なくとも以下のデータを記述したサマリー文書であること。
a. バリデーションポリシー
b. バリデーション活動の組織
c. 施設、システム、装置、工程の概要及びバリデーションの現状
d. プロトコール及び報告書に使用する書式
e. 計画立案及びスケジューリング
f. バリデーションに関わる変更管理及び逸脱管理
g. 受入基準の取扱
h. 既存の文書の参照
i. 要求されるリソースの評価
j. 適切な場合、再バリデーション・クオリフィケーションを含む、オンゴーイングバリデーションの戦略
k. バリデーションに使用する原材料が要求された品質であり、サプライヤが適切なレベルで適格性評価されていることの確認
1.6. 大規模で複雑なプロジェクトクトに対しては、計画立案がさらに重要になり、別のVMPを作成することが必要になる場合もある。
1.7. バリデーション活動に対しては、開発段階や市販段階で実施した変更等を通じて得られた知識や理解に応じて、繰り返しリスク評価を実施する品質リスクマネジメントの手法を用いること。バリデーション活動を裏付けるために用いられたリスク評価の方法は、明確に文書化すること。
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不明確だったVMP作成の目的やその内容が明確にされています。バリデーションを実施する前に、原材料のサプライヤを含め、製造に使用するリソース、すなわち、プロセスを構成する要素、製造方法・原材料・設備機器・作業者の評価が完了していることが要求されています。
バリデーション活動にも、ライフサイクルを考慮したリスクマネジメントの手法を用いることが明記されました。開発過程や商業生産過程を通じて蓄積した経験や知識を活用して、リスク評価を繰り返し、再バリデーションや変更バリデーションの実施項目に反映させることも要求されています。
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