EU-GMP Annex 15: Qualification and Validation 改定案に対するコメント(3)

 本連載では、EU-GMP Annex 15のドラフト版に対する、GMP Platform(GMPP)の考え方を、条文ごとにコメントして行きます。引用した条文の翻訳は青字で、GMPPのコメントは黒字で表しました。あくまで、GMPPとしての解釈です。皆様のご指摘・ご質問・ご討論をお待ちしています。
 
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4.PROCESS VALIDATION/プロセスバリデーション
GENERAL/一般

4.1.    この章で概説する要件や原則は、全ての医薬品製剤の製造に適用することができる。これらの要件や原則は、新しいプロセスの初回バリデーション、それに続くプロセス変更のバリデーション、製造所の移転、継続的(オンゴーイング)プロセスベリフィケーションをカバーしている。

4.2.    この章は、プロセスバリデーションに関する最新のEMAガイドラインと合わせて用いること。注:このEMAのプロセスバリデーションのガイドラインは、本ガイドラインの範囲を超える申請書やGMP要求事項に提示すべき情報やデータに関するガイダンスを提供するためにあることに留意すること。またライフサイクルのアプローチは、製品や工程の開発、商業生産のためのプロセスバリデーション、管理された状態にあるルーチンの商業生産に使われているプロセスのメンテナンス等にリンクして適用されることにも留意すること。

4.3.    医薬品は、伝統的な手法あるいは連続的プロセスベリフィケーション(Continuous verification)のような新しい手法を用いて開発してもよいが、いかなる手法を用いても、市場に出荷する前に、プロセスは堅牢であり一貫した製品品質を保証できることを示すこと。可能な場合は、製品の市販前に製造工程の予測的バリデーションを実施すること。

4.4.    新製品のプロセスバリデーションは、全ての含量の製品と全ての製造場所について実施すること。ただし、製造所の変更や同じ製造所内で製造設備を変更するような場合で、その製品に関する、以前に実施したバリデーションの内容を含む知識が利用できる場合は、ブラケット法を用いることによりバリデーションバッチ数を減らすことが出来る。この手法は、正当化する根拠があれば、異なった含量、バッチサイズ、包装サイズ/容器のタイプに対しても、許容される。

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 ここで継続的ベリフィケーション(ongoing verification)という用語が出てきますが、これは、FDAがいう継続的ベリフィケーション(continued verification)と同じ意味で使われています。連続的ベリフィケーション(continuous verification)とは全く違う概念ですので、注意が必要です。
 日本語に訳せば、どちらも「連続的プロセスベリフィケーション」となるのですが、ここでは、"continuous"を連続的、"continued、ongoing"を継続的と訳して区別します。"Continuous process verification" は、あくまでバリデーションの新しい手法であり、"Continued process verification"は、バリデーション成立後に継続的に実施するベリフィケーションを意味し、全く異なる概念であることを理解してください。日本語にすると、紛らわしいので、以降、英語も併記します。
 バリデーションの煩わしさが品質改善の妨げにならないように、知識管理の実践から得られるデータや情報を活用し、品質保証に必要十分なバリデーションロット数を割り出してください。
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4.5.    古い製品を技術移転する場合には、製造工程や品質管理が、製造販売承認に適合すること、また現時点でその製品に期待されている認可基準に適合することを確認し、必要であれば製造販売承認の変更を提出すること。

4.6.    対象とするプロセスがバリデートされた状態及び製品品質の保証に重要と考えられる品質特性やプロセスパラメータに一貫して適合させることができることを、プロセスバリデーションによって確立すること。品質特性やプロセスパラメータが重要かどうかを決定する根拠を、リスク評価活動の結果を考慮に入れて明確に文書すること

4.7.    通常、プロセスバリデーションのため製造するバッチは、実生産と同じバッチサイズであり、異なったバッチサイズを用いる場合は根拠を示すこと(例えば連続製造プロセス(continuous Manufacturing Process)であるため)。

4.8.    プロセスバリデーションに使用する施設、システム、装置については適格性を確認し、バリデーションに用いる試験方法はバリデートすること。

4.9.    どのような手法を用いるかに関わらず、全ての製品について、工程開発研究からのプロセスの知識は製造施設でも利用可能とし、他に理由のない限り、バリデーション活動の基礎とすること。

4.10.    プロセスバリデーションバッチや実生産、開発あるいは製造場所の移転には、一般従業員も関与する可能性がある。全てのバッチは、承認された文書に従い、GMPに沿って訓練された従業員によって製造すること。製造部門の従業員は、バリデーションバッチの製造に関わり、市販品の製造開始に備えて製品を理解することが期待されている。

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 セクション4.9にICHQ8を意識した表現が入っていますが、ここで該当する「プロセスの知識」をどの範囲とするか?
 大事なことはトレーサビリティの確保です。開発の初期、例えばスクリーニングサンプルの製作から工業生産に至るまでの開発の全過程で考えれば、膨大な知識や経験が蓄積されている筈であり、これを一つの文書にまとめることは、労力の割に実益が少ない方法です。特別なことは必要なく、ただ、開発の各段階で、こまめに開発レポートを作成し、開発上位のレポートは、下位の開発レポートを参照するようにすれば、全ての開発レポートは、孫引きによって最終的にはオリジナルな実験ノートに行き着くはずです。開発レポートの管理方法をルール化し、必要なときに、必要な知識を活用できるようにすることです。医薬品のライフサイクルを考えると、開発の初期から製品の終焉に至るまで、いろいろな部署が関わることになると思いますが、全ての開発検討文書のレベルを合わせ、PQS(医薬品品質システム)のサブシステムである文書管理システムの管理対象にすることが必要です。PQS(医薬品品質システム)には開発から生産に至るまで、医薬品の製造にかかわる全ての部署が関与すべきでしょう。
 セクション4.10は殆どの企業で考慮し、実践していると思いますが、実生産に入ったとき、特に製造や試験を担当する従業員の教育やトレーニングのチャンスととらえて、バリデーション作業に積極的に組み込むことは有用だと思います。
 

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