FDAの対応すべき医療機器規制について【第7回】

2020/04/10 医療機器

"マネジメントレビュー
この要求は、査察官向けQSIT[7]の、経営管理4.項および是正処置・予防処置(CAPA)の2.項にある注記に記載されており、その2つの内容は以下のようになっています。
 
注:当局(FDA)の方針がCPG 7151.02に述べられている。この方針は、FDAが企業の監査結果へアクセスすることを禁止している。品質システム規則の下では、供給者監査レポートと”マネジメントレビュー”の審査も禁止がされている。しかし、 21CFR 820.50購買管理、21CFR 820.20(3)(c)”マネジメントレビュー”および21CFR 820.22品質監査への適合を示すための手順と文書はFDA査察の対象になる。
注:当局の方針(CPG 7151.02)に従って、内部品質監査、マネジメントレビュー、第三者監査(ISO監査を含む)、サプライヤー監査の結果に関する記録を見せるよう要求しないこと。しかし、品質監査やマネジメントレビューなどを行う際に企業が使用する生データを審査すること。傾向情報とか分析結果は、通常、是正処置および予防処置の要求の下での評価の一部になる。この情報は、内部品質監査およびマネジメントレビューに利用される。内部品質監査およびマネジメントレビューで利用される情報またはデータは生データとみなされ、定期的な審査のために利用可能でなければならない。















まず、マネジメントレビューについてですが、同じくQSITの経営管理5.項では、「FDAの査察官が、企業の実際の” マネジメントレビュー”のレビュー文書を審査することは、許されていない。しかし、企業はレビューがどのように要求事項に従い文書化されているかを示すことがなされるべきである。」[7]とされています。
つまり、マネジメントレビューによる文書は審査しないが、マネジメントレビューで利用される情報またはデータを生データとして代わりに審査するという意味になり、企業はその証拠を示すことができなければならないと解釈されます。
このことによって、通常はマネジメントレビューのインプット、およびアウトプットあるいはマネジメントレビューに基づく是正処置の文書および記録で済むところですが、それらとは別途、査察官向けに他の文書または記録を用意する必要があるということになります。
この他の文書または記録については表7.1のようなものが考えられます。こうした文書が無かった場合に、要求事項を満足する証拠があるか査察官に執拗に確認されることになりますので、会議にはつきものの開催案内や議事録などをきちんと整備しておくことがスマートな査察対応の要点ということになります。"

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執筆者について

細田 誠一

経歴 東京電機大学卒。オリンパス光学工業(株)、オリンパスメディカルシステムズ(株)、オリンパス(株)にて、医療用内視鏡システムの設計・開発、製造と工程管理、品質保証と多岐に亘る業務担当の経験を重ね、グループ子会社の工場品質部門にて品質システムの管理責任者、オリンパスメディカルシステムズ製造部門にてプロセスバリデーション推進、本社品質保証部門にてCAPA活動推進の責任者の任務を遂行しました。FDA査察/MDD 監査/QMS 適合性調査における実践対応の経験、および定期FDA査察においてNAI(No Action Identified)に導いた実績があります。定年退職後、現在はコンサルタント、セミナー講師、書籍等への執筆活動を進めております。
資格等
IRCA品質マネジメントシステム審査員補
(公財)日本医療機器センター QMS講習会検討委員
未来医学研究会会員
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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