FDAの対応すべき医療機器規制について【第1回】

2019/10/11 医療機器

"はじめに
FDAは、QSRの調和および近代化のため改訂する予定であることを、2018年に公表[1]していました。この改訂は、米国内および国際的な要求事項を調和させることにより、医療機器製造業者のコンプライアンスおよび記録管理の負担を軽減することを目的としているものです。また、この改訂により規制が近代化されることをFDAは意図していると説明[2]していました。
それを受けて、業界関係者がQSRをISO 13485に調和させるため検討し、その結果が、Technical Information Report, AAMI TIR 102:2019「U.S. FDA 21 CFR mapping to the applicable regulatory requirement references in ISO 13485:2016 Quality Management Systems」[3]として9月初旬に発行されました。FDAは、このTechnical Information Report, AAMI TIR 102に対応する法的規制を告示することを予定していますが、本記事作成時点においてFDAから何も示されていません。
このAAMI TIR 102:2019あるいはFDAの今後の対応については、本記事のシリーズにおいてこの機会に紹介して行きたいと筆者は考えています。

初めの「取っ掛かり」として、『品質システム』と『品質マネジメントシステム』の違いを取り上げたいと思います。
FDAによる品質システム規則(21 CFR part 820)[4] はQSRと呼ばれ、組織は『品質システム』を構築しなければならないとされています。一方、ISO 13485:2016 [5] にあっては、『品質マネジメントシステム』を構築することが求められており、一見して同じように見えますが、FDAの意図するところがあり、品質システム規則が公布されています。これから、FDA対応に向け理解を深めるために、相違点を一つひとつ取り上げて、その違いについて解説を加えたいと思います。

名称の違いにおいて、『品質システム』と『品質マネジメントシステム』では、「マネジメント」が含まれているか否かで、『品質システム』を最初から完全性を持って構築することを求めている、FDAの考え方に基づくと言われています。
その根拠となるものには、以下の対比表に示すものがQSRに含まれていないことが挙げられます。
 
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執筆者について

細田 誠一

経歴 東京電機大学卒。オリンパス光学工業(株)、オリンパスメディカルシステムズ(株)、オリンパス(株)にて、医療用内視鏡システムの設計・開発、製造と工程管理、品質保証と多岐に亘る業務担当の経験を重ね、グループ子会社の工場品質部門にて品質システムの管理責任者、オリンパスメディカルシステムズ製造部門にてプロセスバリデーション推進、本社品質保証部門にてCAPA活動推進の責任者の任務を遂行しました。FDA査察/MDD 監査/QMS 適合性調査における実践対応の経験、および定期FDA査察においてNAI(No Action Identified)に導いた実績があります。定年退職後、現在はコンサルタント、セミナー講師、書籍等への執筆活動を進めております。
資格等
IRCA品質マネジメントシステム審査員補
(公財)日本医療機器センター QMS講習会検討委員
未来医学研究会会員
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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