GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第67回】

2023/06/02 品質システム

リスクについて。

リスク

1.脳血管外科
 今年の2月20日に硬膜動静脈瘻で、入院した。3月22日に退院したが、自宅にて回復するよう努めた。発病前に行った文書管理の掲載原本等など、過去に経験した事例、知識等を忘れてしまい、資料等を読み返した。硬膜動静脈瘻とはどのような病気かを概要が掲載されており、回復のため学んだ。

概要
硬膜動静脈瘻とは、脳や脊髄を覆う“硬膜”を栄養する硬膜動脈が毛細血管を介さずに直接静脈に流れ込む病気のことです。
通常であれば圧が高い動脈の血液は多数の毛細血管を介して静脈に流れます。そのため、動脈の高い圧が直接静脈に伝わることはありません。しかし、硬膜動静脈瘻を発症すると動脈の血液が直接脳内の静脈に流れ込むため静脈の圧が上昇して、脳内へ続く血流に異常が生じている場合は脳出血を引き起こすことがあります。また、脳内の圧が上昇することで頭痛や吐き気、視力の低下などを引き起こすことも少なくありません。
この病気は非常に珍しいものであり、頭部外傷や静脈洞血栓症などの病気によって引き起こされます。また、脳内への血流に影響が少ない場合は治療をしないことも多いですが、脳内へ異常な血流が生じている場合はカテーテル治療や手術、放射線治療が必要になります。


 アルツハイマー病等の認知症や失語症など、脳細胞に障害が生じる疾病は多い。その回復のためにリハビリを行う。私自身も、自分の氏名や過去の業務など言語を失ってしまった。入院中は、体力や気力もなくなりトレーニングを受けた。退院直後は、短い距離の歩きを自宅周辺で行った。言語を忘れたため、植物や動物の名称などの読み書きを訓練した。1か月あまり経過し、かなり回復している。しかし、その疾病程度で、その回復も差がある。病院内のリハビリテーションで、持久力やバランス能力の改善、作業療法、言語聴覚を私も受けたが、回復期のリハビリは、1日3時間の上限が決まっているので、入院中は、私にとっては物足りなく、早く退院することにした。退院後、GMP PlatformなどGMP講座の講演内容を確認して、疾病前に行った講座や掲載記事を復習し、回復を目指した。県庁の調査官勤務時の記録、製薬企業のQA責任者等業務に勤めていた頃の実績、GMP管理に関する講演資料、講座執筆文書などを読み返し、言語の回復を目指した。文書を読み返すだけでは、その記載内容について、理解回復したのか、きちんとその業務として実行する能力が回復したのか分からないと感じた。講座を行う企業の担当者の方々に、回復まで、講演会等を中止していただき、回復まで長期間、お休みにお願いした。しかし、記録や報告書などを読むだけでは、特に名称や品名など文書を確認しないと答えられない症状であった。文書を読み返しだけでは、知識など言語が回復したとは言えないので、文書の記載やセミナー開催を行って、過去に学び、行った知識が回復するように務めたと考えてた。
 脳細胞障害となった時、いかに回復すべきか、リハビリをどのように行うか、患者自身の意識も考え、体調管理すべきと考える。ぜひ、今、健康な方々も自分自身が障害となった時、知人や知り合いが障害となった時、どのような環境とした方がいいか考えるべきである。
 

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執筆者について

中川原 愼也

経歴

GMPコンサルタント
1984年神奈川県庁に入庁し、1997年国立公衆衛生院(現在の国立保健医療科学院の前身)でGMP研修を受講後、薬務課及び小田原保健所等で医薬品等の製造販売業、製造業の許認可、審査、指導を主にGMP・GQPリーダー査察官として16年にわたり活躍した。その間、MRA(日・欧州共同体相互承認協定)の締結の際のEUの調査、2005年の製造販売承認制度の施行に携わり、PIC/S加盟にあたり、厚生労働省の委員等委嘱を受け、次の活動に参加した。
平成20、21年度 GMP/QMS調査・監視指導整合性検討会委員
平成21、22年度 厚生労働科学研究~GMP査察手法の国際整合性確保に関する研究
2012年に神奈川県庁を退職し、医薬品原薬輸入商社であるコーア商事株式会社で、品質保証部長として国内管理人としてのGQP取決め及び医薬品製造業としての GMP管理を統括した。2015年から株式会社ファーマプランニングにて、GxPコンサルタント業務に携わる。2017年高田製薬株式会社に入社、大宮工場の製造管理者、品質統括担当参事を経て、2021年より生産本部顧問に就任。同年より中間物商事株式会社品質保証部部長として勤務。
2021年11月より、共和薬品工業株式会社鳥取工場品質保証部長となる。
2022年4月からGMPコンサルタントとして独立したが、2023年2月硬膜動静脈瘻に疾病し、言語障害となった。退院後、自宅にてトレーニングし、完治。8月にネオクリティケア製薬株式会社品質保証部に入社、従来通り活動をしている。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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コメント

一條 厚 厚 / 2023/06/06

中川原様 20数年前によく監査で勉強させて頂きました。 現在に至るまでいろいろな記事を拝見して、参考にさせて頂いております。 ここ最近どうされていたか心配しておりましたが、事情がわかりました。 私も心房細動で入院し、アブレーション手術を受けました。 今回の記事の内容、賛同する部分が多くありますが、私自身製薬から病院勤務も経験し、幅の広い体験をしてきています。今回の記事で患者さんの不安というキーワードですが、一理ありますが、製薬企業と片づけないで、製薬企業は、製造担当やMR更に伝達先への医師、薬剤師へのフォローバックの連携を行い少なからず不安要素を僅かでしょうが補っている様に思います。 患者さんは大病前との比較で回復を考えるのが当然ですがなかなか難しいですね。だから不安がつきまとうのでしょう。時間もかかりますしね。 私よりいろいろな体験をされている中川原様へコメントをするのもどうかなと思いましたが、今後のご活躍をされることと思いますので、何かの参考になればと思います。 あまり無理せず、マイペースで今後の記事も楽しみにしております。

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