GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第2回】

1.  工程管理の記載
 ヒューマンエラーを招かないSOPや記録を教えてほしいと要望する方が多い。もし、そんなSOPが簡単に手に入るならそんなにラッキーなことはない。ヒューマンエラーが発生した時、SOPを確認しながら、作業をしたのかと確認されるだろう。GMPは、作業を行う際、手順書を見ながら行うことを求めていない。確かに、GMP省令第10条に「製造指図書に基づき製品を製造すること。」の記載がある。それは、SOPや指図を見ながら作業をすることを求めているのではない。レストランのシェフがレシピを見ながら調理をしていたなら、どう思うだろうか。まだ、新米シェフだと思い、心配になるであろう。日本には匠の技が多い。その匠の技を行う際に、マニュアルを見ながら作業をすることがあるだろうか。師匠の技を盗むという考えもある。
 電気製品等の多くは、操作マニュアル等の手引きがある。皆さんは、そのマニュアルを購入時に読みこなしているだろうか。最初の接続等の部分ぐらいは読むかもしれないが、トラブルでもない限り読むことも少ないのではなかろうか。あの分厚いマニュアルのどこを読むべきか探すのも苦労することと思う。日本の法令は、法令単独では分かりにくく、施行通知や運用通知が発出、Q&Aが事務連絡として交付され、それらを合わせて読むことで内容が理解できることが多い。行政担当者がそのすべてを頭に入れて対応しているわけではない。
 私が在籍したコーア商事で製造管理者であった尾林君の面白いたとえ話をここで披露したい。以下のとおりの駅から会社までの朝の通勤SOPを作成する時を考える。
 
通勤のSOP
  駅 → (バス:料金170円、約15分) → 会社 
工程管理値:バス代 (¥100玉×1個)+(¥50玉×1個)+(¥10玉×2個)
 
 現場で作業に間違いが起こらないように詳細な手順を求められることが多い。しかし、この場合、バス代として、200円を支払って、お釣りをもらった時やPASMOやSuicaのような交通ICカードを利用すると逸脱になるかとの論議であった。通勤なら定期券でしょという意見はご尤もですが、今回の検討からは除外していただきたい。この場合、重要な管理値は何か、それは、逸脱した時に品質に影響する可能性があるものを設定する必要がある。では、このケースにおける重要パラメータは何かを考えると、会社の始業時間に間に合うことで、駅から会社までの手段は徒歩であっても、電車に乗り遅れて、タクシーに乗ろうと、間に合えばいいとも考えられる。しかし、製造販売承認書の記載内容に、その手段の記載は必要であろう。バスを利用すると規定して、その時間をパラメータにすると渋滞になって、30分かかり、始業時間ぎりぎりになったとする。規格である始業時間に間に合ったが、作業時間が15分のところ30分になったことは逸脱かと議論になろう。
 例えが関係ないと思わず、皆さんの職場で考えてもらいたい。実際、こんな状況のSOPは多いと感じる。製造販売承認書との齟齬の問題にも関係することであり、医薬品の品質に影響する管理に間違いが起こらないようにSOPを作成することが重要である。

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