GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第1回】

1. GMP三原則

 GMP三原則を確認する。

 


図1 GMP三原則

 


 GMP三原則において「人為的な誤りを最小限にすること」がうたわれている。GMPは、文書が増えて、ヒューマンエラーを招くとか、ヒューマンエラーは「0」にできないから、仕様がないとか発言する人もいる。しかし、GMPが求めていることは、まず、ヒューマンエラーの発生をいかに低くする方法を模索することである。その模索することがリスクマネジメントにおけるリスクアセスメント(リスク分析)となる。ヒューマンエラーが起こると、すぐに「逸脱だ!」「教育訓練だ!」と大騒ぎをするのではなく、原因の調査をきちんと行い、もし、手順書を十分に読まずに起きた事象なら、なぜ、手順書を十分読まなかった理由を明確にすることが大事である。それが手順書をどこに保管しているか分からず、読まなかったなら、文書の保管方法を見直すことが必要である。もし、記載が複雑で、理解ができなかったなら、写真や図表を利用して、理解しやすい手順書(SOP)を作成することも重要である。手順書(SOP)を詳細に記載して、分厚いマニュアルを作成すると、却って、読まないのが、人間心理だと思う。例えば、「マンガ」のようにすることやプロセスごとにA4で納めることも一つの方法である。実作業者が読みやすい手順書(SOP)を作成することが大事である。
 ここで、読者の誤解を招かないように確認する。リスク分析は「逸脱」が起きてから行うのではなく、変更による影響の確認として、是正措置を行うにあたり、その行為を起こすことにより発生する恐れがあるリスクを考えることがリスクアセスメントである。また、逸脱の発生に対して、同様な事例が別の品目や別の製造ライン等で起こるかを検討することがCAPA(Corrective Action & Preventive Action)の予防措置である。
 ヒューマンエラーは、教育不足と片づけるのではなく、その原因を探ることが大事である。特性要因図(fish bone chart)等を利用して探るのも方法である。これから、その原因と対策について検討したいと思う。ただし、これですべて解決などという魔法の杖を私は持っていない。だからこそ、コミュニケーションを取り、ハードとソフトの両面で働きやすい環境を作ることが大事である。

 

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