GMP Platform PIC/S解説シリーズ:PIC/S GMPガイドPart I(6)

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PDFファイル『PE 009-9 (Part I) PIC/S GMP GUIDE (PART I: BASIC REQUIREMENTS FOR MEDICINAL PRODUCTS) 2009-09-01』
 
※解説・翻訳のみを参考とするのではなく、必ず原文のご確認をお願い致します。
 
【解説】
 
 医薬品の製造の基本的なルールは、「決められたことを決められた通りに実行し、決められた方法で記録すること」に尽きます。決められていないことを実施した場合は、その理由とその結果を報告し、その処置を出荷責任者(Authorised Person)の判断にゆだねることになります。
 
 この章には、原材料から製品の出荷に至るまで製造に関する注意事項が細かく説明されていますが、これらのほとんどが混同と交差汚染を避ける方法・手段についてのものです。ここに医薬品製造の特徴があります。経口薬の製造と食品加工(例えば、カマボコやソーセージ等)を比べると、人の胃袋に入るという意味では、その量から言って食品の方がはるかに大量であり、食品加工の方がより厳密にコントロールされてしかるべきですが、現実はそうではありません。極端な言い方をすれば、食品は一般家庭の台所で加工しても問題はない、例えばニンジンと大根を間違えて料理しても、味に問題はあるかもしれませんが、健康被害につながることは考えられません。医薬品の場合はそうはいきません。原料を間違えたり、違う原料が紛れ込んだりすると、取り返しがつかないような健康被害に繋がります。食品は、見た目や味によって善し悪しが判断できますが、「医薬品の品質」は外観や味からは判断できないことが、食品と医薬品との最も大きな違いです。
 
 医薬品の工場が、専用工場なら大きな問題はないのですが、医薬品の工場は、ほとんどが少量多品種の医薬品を取扱っているのが現状です。製造プロセスや分析法をバリデートし、洗浄基準、空調管理基準、更衣手順、原材料から製品の取扱ルールを決め、確実に実践することが求められるのは、全て交差汚染や混同を防ぐためであることを、全ての作業者に理解させることが経営者、管理者の責任です。また、完璧な製造プロセスというものはなく、ミスやエラーはつきものであることを念頭に、管理者は作業者を厳しく管理することばかりでなく、リスク管理の一環として、作業者がいつもと違うことが起こっていることに気づいたら、直ちに管理者に報告でき直ちに処置がとられるような雰囲気の職場にしていく努力が、品質の向上につながることを肝に銘じていただきたいと思います。
 

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