ラボにおけるERESとCSV【第10回】

はじめに
コンピュータ化システムを用いて規制対象業務を行う場合、対象とする規制に適合するようコンピュータ化システムを管理・運用しなければならない。コンピュータ化システムの管理・運用が不適切であると、当局査察において指摘を受けることになる。日米欧3極の規制体系や文言は異なっているが、基本的な考え方に違いはない。今回は、米国FDAのERES規制であるPart 11の概要と、FDA査察におけるコンピュータ指摘の内容を紹介する。厚労省ERES指針およびコンピュータ化システム適正管理ガイドラインの対応を行ううえで、FDA査察におけるコンピュータ指摘の内容は反面教師材料として大変参考になる。

1. FDAのコンピュータ規制
FDAは電子記録・電子署名の規制として21 CFR Part 11 Electronic Records; Electronic Signaturesを1987年に制定した。このPart 11は省令に相当する規則であるが、2003年に業界向けガイダンスScope and Application 1)を発出し、電子記録・電子署名を実際に使用するうえで必要とされるPart 11対応レベルを示した。規則であるPart 11を厳しく解釈すると電子記録・電子署名を使えなくなってしまうので、このガイダンスにより、Part 11の実務的な解釈と適用レベルを示し、電子記録・電子署名の普及を図ったのである。このガイダンス発出以降、FDAのGxP査察におけるコンピュータ指摘は、「Part 11不適合」ではなく「GxP不適合」と指摘することとし、今日に至っている。Part 11はコンピュータ化システムのバリデーションを求めているが、我が国のコンピュータ化システム適正管理ガイドラインのようにバリデーション方法を具体的に示したFDAのガイドラインは発出されていない。

2. FDA査察
FDAが施設の査察を行った結果は 「EIR」(Establishment Inspection Report:施設査察報告書)により報告される。 そして指摘事項は 「Form FDA 483」(観察指摘) に記載され、 企業側に提出される。「Form FDA 483」を受け取った企業は、指摘事項に対する回答をFDAへ提出する。「Form FDA 483」に対する企業側の対応が不十分である場合、FDAは Warning Letter(警告書) を企業へ送付する。Warning Letterに対する企業側の対応が不十分である場合、和解命令 (Consent Decree)、ライセンス停止、取り消し、禁止(差し止め)、押収、輸入制限、告訴/民事罰といった法的処置がとられる。

FDAのWarning LetterはFDAの下記サイトにて全数公開されており、閲覧・検索を行うことができる。
 http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/

EIRと「Form FDA 483」は要求により開示されるが、 開示要求の多いものや教育的な 「Form FDA 483」は FDAの下記WEBサイト に掲載されている。以下、「Form FDA 483」を483と略す。
 http://www.fda.gov/ora/frequent/

また有償ではあるが、下記サイトにてEIRや483をダウンロードできる。
 http://www.foiservices.com

ちなみに、我が国の施設に対し2000年~2014年の間に発せられた483のうち、40件ほどがこのサイトに登録されている。

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