【2025年6月】医薬品品質保証こぼれ話 ~旅のエピソードに寄せて~

執筆者の連載をまとめた書籍を発刊「医薬品品質保証のこぼれ話

 

第15話:インプットとアウトプット

近年、インターネットの普及によりSNS(Social Networking Service)をはじめとする様々なメディアを通して、リアルタイムあるいはアーカイブされた情報が、スマートフォン(以下、「スマホ」)ひとつあれば誰もが瞬時に入手できる状況にあります。これらの情報の入手方法としては、検索等により能動的に入手するものと、閲覧傾向の解析等から自動的に送信される情報を受けるケースがあります。こういった状況を‟インプットとアウトプット”という観点で捉えると、多くの人は“アウトプットよりインプットのほうが多い”のが現状と推察され、それに関わるツールとしてはパソコンもありますが、やはり全体的にはスマホが一番多いでしょう。これにテレビやラジオを含めると、受動情報が圧倒的に多いのが現状です。

この状況の中、スマホの使用が特に子供たちにさまざまな悪影響を及ぼすとの懸念から、一部には使用に年齢制限を行う国も出てきています。子供への悪影響に関しては、学習能力の低下や凶悪な犯罪に巻き込まれるきっかけになるなど様々な側面からの指摘があり、その原因についてもスマホが発する電磁波の脳への影響や悪質なサイトへのアクセス、さらには長時間使用による勉学への影響などいろいろな観点からの見解が示されています。これらの指摘どおり、スマホ依存が脳や学習に重大な影響を及ぼすと仮定した場合、ほとんどの人が通勤の車中や町中、レストランなど至る所で常にスマホを手放さず眺めるという今の状況から、子供を含む多くの人が日常的に電磁波や受信する好ましくない情報に晒され、すでに“スマホ中毒”となり、その悪影響を受け続けているということになり、この先、健康等への影響が危惧されます。

ちなみに、子供たちの学習能力への影響に関しては、電磁波の医学的な影響もさることながら、一方的に受信する動画などを漫然と見続けることによる時間の無駄遣いや、それによる自ら考え発信する能力(アウトプット脳)の発達への影響、特に、前頭葉がつかさどる創造的な能力の発育が障害されるとの懸念もあります。こういった懸念を払拭するためには、スマホを見る時間を減らし、自ら考えアウトプットすることに少しでも多くの時間を費やし、それを習慣化することが大切です。“アウトプット”の重要性は子供の学習に限らず、“英会話や楽器演奏”(繰り返しての発音や練習がポイント)のスキルの向上、また、健康管理における“飲食と排泄”といったことにも通じます。

このように、“アウトプット”および“アウトプット脳“は、この世の中で主体的かつ健全に生きていく上において、あらゆる領域、場面で大切であり、多くの場合において、インプットより重要と言っても過言ではないでしょう。このことは、ビジネス界においても同様に言えることであり、担当する業務に関し、セミナーや自学によるインプット(情報や知識)と、それに基づくアウトプット(実務演習)のバランスをほどよく保つことを意識して業務を進めることが大事です。この進め方は、特に専門性の高い技術の取得において求められ、医薬品製造における製造や試験の操作技術などはその典型的な事例と言えるでしょう。

このように、積極的・能動的に対応する能力(アウトプット脳)は、充実した人生を送る上で様々な局面で求められますが、多くの日本人がスマホに依存して受信中心の活用方法を続けている現状から、この先、アウトプット脳は徐々に退化し、日本の活力そのものにも悪影響を及ぼすことが懸念され、長期的な視点からの何等かの対策が必要と思われます。

 

 

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