GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第91回】

文書管理
1.言語障害
2023年2月20日午前3時、左側頭葉皮質下出血で、救急搬送され、脳神経外科に入院した。横静脈洞硬膜動静脈瘻と診断され、脳血管内手術を受けた。失語症状となり、言語理解が不良であった。1か月以上の長期のリハビリを受け、その後、失語症状は回復したが、いまだに、友人等の氏名や地名、名称を忘れることが多い。

記憶障害ではなく、言語障害で、リハビリとして名詞の喚語があった。野菜や動物は認識できるが、その名称を理解できず、その絵と名称を結べないのである。障害当初は、記憶障害ではないので、絵は理解しているつもりだが、名称と結ぶことができないことが障害であることが理解できないのである。
原稿の執筆やセミナー講演も、GMP省令が求める品質リスクや医薬品の名称も誤ることが起きた。現状、かなり回復したが、頻繁に発言しないと、言葉を忘れることがある。そのため、執筆や講演を訓練として繰り返すことで、回復してきている。
GMP管理として、言語の誤りは、手順の逸脱等を招き、品質リスクを保持できない。製造管理、QC管理、QA管理において、手順書の記載項目を理解しないまま、その作業に係れば、逸脱を招くことになる。手順を理解し、業務を遂行できなければ、GMP業務に携わることはできない。私の場合、脳障害による言語の理解力の減少だが、言語の理解力は、個人の能力により、差が生じるものである。国語が得意の人、数学が得意の人、理科が得意、設備等の管理が得意、清掃等衛生管理が得意など、その手順を理解するために、どのような知識、技能、能力が必要か、それぞれの作業者が備えている知識、知能、能力が何かを把握しなければ、適正なGMP管理は実施できない。
データ改ざん防止が求められている中、手順を理解できず、誤記載を引き起こすことがないよう、手順書を詳細に記載するよう求めることもある。しかし、その手順を利用する者の理解力は統一ではない。ベテランの作業者と新人の作業者には、その経験から手順に対する理解度は異なる。品質に影響しない作業まで詳細な手順を規定すると、かえって間違いを引き起こすことはないだろうか。品質に影響するリスクを引き起こすことがないよう手順を定めなければならない。そのために、作業者の理解度を把握し、その手順を共有化し、リスクを引き起こすことがないレベルで手順を規定し、文書を作成する必要がある。よく、初心者にも通用できる規定を求められることがあるが、初心者として、手順を知識、技能、能力として習得すべき点について、教育訓練として教育訓練プログラムを作成すべきである。各担当者の知識、技能、能力を把握し、それぞれに合致する教育計画を立案して、その能力に合致するプログラムを作成し、新人、有能者、経験者、ベテラン、リーダー、センター長、責任者に合致するプログラムが必要である。手順の規定は、その作業者全員が間違えを引き起こさないレベルのものを作成して、教育訓練プログラムを各作業者の手順として理解できる知能が必要であり、その知能を習得できるよう立案しなければならない。
2.文書照査、承認
文書及び記録の管理について、GMP省令第20条に定められ、その逐条解説1)にその文書承認について求められている。
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