通訳あるあるネタ【第12回】

2019/06/21 品質システム

最近他の通訳者たちと話した「困りごとあるある」を、2回の連載に分けて皆様に解説したいと思います。通訳という仕事について、正しい理解が広まることを願っています。

1)スピーカー(講演者)が通訳レシーバーで同時通訳が追いついていることを
  確認しながら喋る
2)取締役会等のラウンドテーブルで、通訳者を後方隅の目立たない場所に配置
  する/同通ブースをスピーカーやプロジェクター画面が見えない場所に配置
  する
3)読み原稿の提供が無い
4)全部訳すのではなく、要約又は分からないところだけ通訳してほしいと依頼
  される
5)(査察の場で)英語が堪能な方が査察官と直接英語でやり取りをし、区切っ
  てもらえないので通訳不可能(書記や周りの対応者に話の内容が伝わらない)
6)発言時にマイクを使わない

1つずつ解説します。

4)全部訳すのではなく、要約又は分からないところだけ通訳してほしいと依頼
  される
このようなご依頼が時々あり、おそらく私たちの負担を軽減しようとするご配慮だと察しますが、結論から申し上げると「発言のどこが重要なのか」を私たち通訳者が判断すべきではないと考えます。また、皆様の分からないところがどの部分なのかを正確に把握することは、「よほど長いお付き合い」か「テレパシー」が無い限り、不可能です。私たち通訳者は、様々な専門家の思考に追随し、メッセージを解釈して、自分たちの裁量で足し算や引き算をすることなく聴衆に伝えることが仕事です。査察の通訳をしていると、説明の内容が複雑かつ高度なので、間に入って通訳している私にはロジックが理解できないことも多々あります。それでも、言葉を正確に訳すことで専門家同士の意思疎通をサポートできた時には、この仕事をしていて本当に良かったと思います。

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執筆者について

西手 夕香里(通訳・翻訳修士)

経歴 シミックホールディングス株式会社人財部Senior Interpreter
シミックファーマサイエンス株式会社信頼性保証本部薬事スタッフ(通訳担当)
Monterey institute of international studies (MIIS) 通訳翻訳修士課程終了。自動車関連大手企業で8年 (うち米国勤務が7年) 、米国系大手製薬企業で3年、社内通訳経験を積んだ後に独立。
規制当局によるGxP査察の通訳を中心に医薬分野でフリーランス通訳をしていたが、グループ会社の査察通訳がきっかけで2016年5月にシミックホールディングスに入社。非臨床と臨床を中心に、基礎研究から市販後までのプロジェクトに通訳・翻訳者として関わる。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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