通訳あるあるネタ【第3回】

2018/09/07 品質システム

今回は、通訳者のつらさと喜びについてお話したいと思います。つらさとしてまず思い浮かぶのは、ジョークや日本語特有の表現の通訳です。以下は私が実際に経験した事例です。
例1)外国人:「それは誤解です。」日本人役員:「「誤解も、六階もないだろう!」
例2)日本人社長:「今朝その話を聞いて、私は頭にキノコで…」
日本人は大爆笑。外国人は「早く訳せ」という表情で私を見ます。同時通訳なら、まずギブアップ。「すみません、英語に訳せないジョークです。とりあえず笑ってください。」と苦し紛れに訳し、申し訳なくて後でこっそり意味を説明したこともあります。逐次通訳でも、ジョークの意味を説明するほどつまらないことはありません。最近の例を挙げるなら、日本外国特派員協会主催の記者会見でのピコ太郎氏の発言です。「全米ビルボード100位に入った曲で、一番短い曲」というギネス世界記録に認定された感動を、「おどろき桃の木20世紀でございます!」と表現したピコ太郎氏ですが、これは通訳泣かせです。また、ジョークや日本語のことわざを披露する際に、「通訳さんはこれをどう訳されるでしょうか?」のような前振りがあると、必要以上に聴衆の視線が集まって、やりにくいことこの上ありません。元の発言の面白さが半分も伝わらなかったと自分の力不足を嘆きつつ、共通の文化的背景を持たない聴衆の前でジョークを言うスピーカーも理不尽だと、いつも思います。
 

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執筆者について

西手 夕香里(通訳・翻訳修士)

経歴 シミックホールディングス株式会社人財部Senior Interpreter
シミックファーマサイエンス株式会社信頼性保証本部薬事スタッフ(通訳担当)
Monterey institute of international studies (MIIS) 通訳翻訳修士課程終了。自動車関連大手企業で8年 (うち米国勤務が7年) 、米国系大手製薬企業で3年、社内通訳経験を積んだ後に独立。
規制当局によるGxP査察の通訳を中心に医薬分野でフリーランス通訳をしていたが、グループ会社の査察通訳がきっかけで2016年5月にシミックホールディングスに入社。非臨床と臨床を中心に、基礎研究から市販後までのプロジェクトに通訳・翻訳者として関わる。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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