通訳あるあるネタ【第3回】

今回は、通訳者のつらさと喜びについてお話したいと思います。つらさとしてまず思い浮かぶのは、ジョークや日本語特有の表現の通訳です。以下は私が実際に経験した事例です。
例1)外国人:「それは誤解です。」日本人役員:「「誤解も、六階もないだろう!」
例2)日本人社長:「今朝その話を聞いて、私は頭にキノコで…」
日本人は大爆笑。外国人は「早く訳せ」という表情で私を見ます。同時通訳なら、まずギブアップ。「すみません、英語に訳せないジョークです。とりあえず笑ってください。」と苦し紛れに訳し、申し訳なくて後でこっそり意味を説明したこともあります。逐次通訳でも、ジョークの意味を説明するほどつまらないことはありません。最近の例を挙げるなら、日本外国特派員協会主催の記者会見でのピコ太郎氏の発言です。「全米ビルボード100位に入った曲で、一番短い曲」というギネス世界記録に認定された感動を、「おどろき桃の木20世紀でございます!」と表現したピコ太郎氏ですが、これは通訳泣かせです。また、ジョークや日本語のことわざを披露する際に、「通訳さんはこれをどう訳されるでしょうか?」のような前振りがあると、必要以上に聴衆の視線が集まって、やりにくいことこの上ありません。元の発言の面白さが半分も伝わらなかったと自分の力不足を嘆きつつ、共通の文化的背景を持たない聴衆の前でジョークを言うスピーカーも理不尽だと、いつも思います。
 

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