医薬品委受託製造に関する四方山話【第12回(最終回)】

■前回までの記事

28.CMOの使命
 CMOとして最も重要なことは何でしょうか?この種の質問があった場合に私は、以下のように答えています。" On Time Delivery and Constant Quality by Reasonable Cost" 必ずしもLow (若しくはLower, Lowest) Costではない点に注目してください。最優先は、一定品質の製品を確実に期日までにお届けすることで、必ずしも安いコストではないというのが私の考えです。Lower Cost, Lowest Costを前面に出すが故に、最終的に会社の品質システムが破綻してしまっては、元も子もありません。顧客もそのようなことは決して望まないのは明白で、継続的な商用生産では、委託先の経営方針、品質システムや財務状況は最初の重要なチェックポイントになります。必要なメンテナンス費用を惜しみ、人材を過度に絞り込み、技術者育成に資金を投入しないCMOを顧客は信用しないでしょう。適切なコストをかけて、必ず期日までに安定的に製造し不良品を出さないCMOを信用するはずです。このようなポイントを考えたときに、昨今のGMP Non-Compliance事象による市場でのDrug Shortageや欠品が委託先のCMO製造理由で発生した場合は、委託元にとって最大の苦痛となります。場合によっては、二度とアウトソースはしないなどと頑なになってしまう可能性もあるのです。On Time Deliveryは意外と難しいのです。海外では、多くの製品が当局査察での警告を受け、欠品問題が起こっています。いわゆる"Regulatory Harm" によるDrug Shortageです。任せているCMOが当局査察をクリアできず、製造停止になってしまっては、委託側はたまったものではありませんが、そのような実例が枚挙にいとまがないのも現実の姿です。したがって、CMO選択の1つに、当局査察履歴という項目が入ってくるわけです。
 一方で、品質システムはしっかりしているが、コスト低減の努力をしないCMOはどうでしょうか。こちらも顧客からの信頼を得られません。日々、コスト低減の努力を行い、時には委託先に改善提案を行うCMOと、単に言われたままの製造を行うのみのCMOのどちらが、あなたにはFavorableでしょうか、答えは明白です。多種多様な製品を預かっているCMOにとって、経営方針がふらふらしているようでは、安定供給は存外難しい課題なのです。絶対やりきるという使命感を持つだけではなく、企業カルチャーとして従業員全員の心に浸透させるとともに、リソース配分をしっかり考えた経営を行い、人材を育て、設備投資を計画的に進めていく、そして投資回収を確実に行うといった循環があって、CMOの安定経営が成り立ち、顧客の安心感と信頼を勝ち得るのです。委託する側もこのあたりの機微をしっかり理解し、日々のパフォーマンスと経営の確かさ、信頼するに足る人材の豊富さ等をしっかり見極めたうえで、良いパートナーシップ構築に力を注ぐべきです。その信頼を勝ち得るために、CMOは基本に忠実に、謙虚に、そして多種製品の供給を担っていることに自信と誇りを持って、常に業務改善を考えながら取り組んでいく必要があるのです。そのような実績をひとつひとつしっかり積み上げていくことで、既存顧客からの信頼感をさらに高め、新たな顧客獲得にも繋がり、ひいては、技術屋にとって最も楽しい、様々な技術課題に取り組んでいける好循環が生まれるのです。
 

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