医薬品委受託製造に関する四方山話【第1回】

はじめに
 医薬品産業の使命である、「適正な価格」で、「高品質」な医薬品を「安定的に供給する」ということに関し、医薬品の製造委受託ビジネスは、その重要性を益々高めつつあります。国内で薬価収載されている医療用医薬品の数をご存知でしょうか。2012年現在、約15,000種類の医薬品があります。まだまだ、癌、アルツハイマーなど、人々の生活を脅かす疾病に対するアンメットメディカルニーズは高く、また薬剤費低減政策に後押しされる後発品の増加も踏まえ、高齢化とともにこの数はさらに増えていく一方と予測されます。かくいう私も5年前までは、私生活では一切薬とは縁のない生活をしていましたが、50歳を越えた今では、常時2種類の降圧剤を飲んでいます。幼少期から青年期まで、大きな病気をしたこともない私は製薬会社に勤めているものの「くすり」の必要性を自身の生活の中では、それほど強く感じることは実感としてありませんでした。それが今は、常時2種(3錠/day)です。歳をとって情けないと思う反面、いい薬剤があるおかげで血圧を適切にコントロールでき、そのおかげで毎日好きなものを食べ、お酒を飲めることに感謝しています。どれだけ多くの人が、こういった恩恵に預かっているでしょう。様々な体の変調に対し、これだけの医薬品の数量と種類が役立っているのです。
 
 一方で、これだけの数量の医薬品を、開発した製薬会社自らのリソースのみで先述した「適正な価格」で、「高品質」な医薬品を「安定的に供給する」ことを続けることが可能でしょうか。答えは、ノーです。先には記載しませんでしたが、製薬企業の責務としてもう一つ重要な使命があるからです。それは、「既存の薬ではいまだ解決しない疾病に対する薬」を見出し開発するという責務があるからです。それは、ピカピカの新薬かもしれませんし、既存薬を服薬しやすくした改善薬かもしれません。そういった薬剤の研究開発には膨大な時間とコストが必要になり、既存薬の製造をすべて自社でやっていては、リソースが足りなくなってくるのです。考えてみてください、30年、40年製造を続けている医薬品は山ほどあります。一方で、さすがにそういった医薬品は、競合薬の出現で、その数量は年々減っていき設備の稼働率は低下し、製造設備は老朽化していき更新が必要となってきます。数量の減ってきた医薬品の製造のために設備を更新し、かつ稼働率が低い状態で続けると、設備投資負担や人件費負担が非常に大きなものとなり最終的には原価割れします。他産業では、必要とされる数量が限界利益に到達する前に製造を中止するでしょうが、医薬品の場合は、多くの場合それだけの理由では製造をやめることはできません。必要とする患者、医師がいる限り、継続した提供を義務付けされる場合がほとんどなのです。これだけでも、自らのリソースのみですべての医薬品製造を継続することが難しいことはよく理解できるものとおもいます。すなわち、年々増えていく医薬品の種類と量を、安定的に適切なコストで品質を担保しながら継続して提供していくためには、製造に関する委受託の関係が、質・量の両面で適切な状況を維持することが重要になってきます。委託側からみれば、安心して自社製品の製造を任せられる受託会社、受託側からみれば、継続的に発注してくれる顧客としての委託会社を確保することになります。言い換えれば、お互いにWin-Winとなる委受託ビジネス関係の構築が、継続的な医薬品産業の発展には不可欠ということです。本連載では、「委受託双方がWin-WinとなるためのKey Pointになるものはなにか」ということを「四方山話」の中で感じ取っていただくことを目的として、筆者の経験も含めていくつかの話題を提供していきたいと考えています。

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