玄人好みの空調技術【第2回】
第2回 製薬工場の空調は環境技術の玉手箱
【医薬品工場が一番おもしろい!?】
前回 、行きつかなかった医薬品工場です。
前の回を振り返っちゃうとただでさえ話が長いのにまた長くなっても迷惑をかけるので、初めて読む方は前の回をご一読いただけると幸いです。
シーエムプラスファンの読者は医薬品工場に興味がある方が殆どかと思います。
自分の分野以外の業界を覗いてみるのも良いかと思うので、初めての方は試しでよいので前回を読んでもらえると嬉しいです。「あ、こんなこともあるのか!」と言った発見や、もっと新しいアイデアとかが浮かぶきっかけになれば幸いです。

では、改めて医薬品。
医薬品は人の健康を保ったり、病気を治したり、命を繋ぐ製品です。
そんな医薬品に変なものが混ざっていたり、菌が入っていたりしたら、健康は保てず、逆に病気になり、下手したら命が失われてしまうかもしれません。
だから、医薬品工場では異物が入ったり菌が入ったりしない、清浄でかつ衛生的な環境で製造する必要があります。
加えて、医薬品はいつも一定の品質でないといけない製品です。
今日は効いたけど明日は効かない薬では患者は困ってしまいますし、逆にいつもより効きすぎてもいけません。なので、一度、売り出したらいつも同じ品質でなければいけない製品です。
電子製品や家具は使ってみて不具合があれば返品交換できるものがほとんどですよね。でも、医薬品は使った後に不具合があったりしたら大変です。訴訟問題になったりもする。
だから、出荷される製品の歩留まりは100%でないといけない。
そのためには、医薬品製造はいつも一定で安定した生産が求められ、製造する環境も一定で、安定していないといけない。
さらに流通が切れてもいけません。いつも飲んでいる薬が無くなってしまったら、これも命に関わる問題になります。流通は工場だけの問題ではありませんが、生産が停まって、品薄なんかになったら目も当てられない。
電化製品などは、品薄になって困りはするけど、待てばいいし、そのとき買わなくてもいい。それで身体は壊わしませんよね。イライラはするかもしれないけど。
でも医薬品の多くは、定期的に飲まないといけないし、買えなくなったりしたら、健康や命に関わります。だから、医薬品工場は、作りつづけて、供給し続けないといけない。ロバスト性が求められるんです。
また、工場が出来上がってから、医薬品の品質が満足できない、出荷したあとに医薬品に不具合が見つかったり、届け出してる作り方と違う、なんてことがあってはいけないから、全体に渡ってリスクマネジメントやバリデーション、文書管理が重要になります。(これは他の記事をお読みください。面白いですよ。)
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