≪解説≫2025年 改正薬機法【第4回】
品質保証・安定供給・創薬環境の変革に対して企業として備えるべきこと
【第4回】令和7年改正薬機法の背景 ― なぜ、今この改正が必要だったのか(その3)
(前回からの続き)
~先手先手で対応するために~法改正後の情報開示ステップとウォッチすべき対象
法律の条文(大枠)から、日々の業務に直結する運用ルールへと、情報は段階的に具体化されます。
この流れを理解し、各段階で発出される情報を漏れなく把握することが重要です。
- 法律(令和7年改正薬機法): 制度の基本方針や骨格を定めます。
- 政令(施行令): 法律の委任に基づき、制度の適用範囲や主要な定義など、より具体的な内容を定めます。例えば、こちらで具体的な施行日や、定期的なGMP適合性調査の頻度なども規定(改正)されます。
- 施行規則(省令): 申請手続きの様式、記録の作成方法、具体的な基準値など、実務レベルで最も詳細なルールを規定します。
- 告示: 例えば、特定の医薬品リストや技術的な基準など、具体的な指定事項が示されるものが多いです。
- 通知・ガイドライン・Q&A: 法令の解釈や具体的な運用方法、行政が推奨する対応などが示され、実務上の指針として極めて重要です。

~先手を打つための情報収集戦略~パブリックコメントの徹底活用
これらの情報、特に施行規則や告示、重要なガイドライン等は、正式決定前に「パブリックコメント(意見公募)」にかけられます。
パブリック・コメント
こちらで、意見を行い、皆様の実状などを踏まえた修正を行える可能性があることはもちろんのこと、以下のような情報の収集及びその情報を戦略的に活用することが、先んじて法令改正などの対応策を講じるためツールとなります。
- 「案」の段階での情報入手: 正式決定前の「案」を読み込むことで、行政が目指す具体的な方向性をいち早く把握できます。これは、自社の対応準備を早期に開始するための大きなアドバンテージとなります。
- 「結果公表」から読み解く運用の真意: パブリックコメントの終了後に公表される「提出された意見とそれに対する行政の考え方」は、情報の宝庫と言えるでしょう。
- 論点の明確化: 他社がどのような点に疑問や懸念を持っているかが分かり、自社が見落としていたリスクや論点を洗い出すことができます。
- 行政の意図の把握: なぜ特定の意見が採用され、あるいはされなかったのか、その理由を行政が説明します。これにより、条文だけでは読み取れない「規制の趣旨」や「行政の判断基準」を垣間見えることができます。
- 法令の具体的な解釈: 「こういう場合はどうなるのか」という実務的な問いに対する行政の回答は、具体的な運用を想定する上での重要なヒントとなります。
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