GMP Platform PIC/S解説シリーズ:PIC/S GMPガイドPart I(4)

2012/06/18 製造(GMDP)

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PDFファイル『PE 009-9 (Part I) PIC/S GMP GUIDE (PART I: BASIC REQUIREMENTS FOR MEDICINAL PRODUCTS) 2009-09-01』
 
※解説・翻訳のみを参考とするのではなく、必ず原文のご確認をお願い致します。
 
【解説】
 PIC/Sには構造設備に対する要求事項として、具体的な基準や数値は示されておらず、当たり前のことが当たり前に書かれています。最も重要なことは、「原則」に記されている通り、製品の品質を保証するために、誤操作や汚染、特に交差汚染の危険性を最小限にすることですが、具体的に、これらの曖昧に表現された要求事項をすべて満足させることは決して容易ではありません。構造設備はどうあるべきか? 真剣に考えると、かなりハードルの高い要求内容で、対応に苦慮することになると思いますが、正解はなく、ソフトとハードのコラボレーションを含め、その達成手段は、各企業の創意工夫に任されていると言ってもよいでしょう。
 
 新しい構造設備を導入するとき、あるいは古い構造設備を改善する場合でも同様ですが、もっとも大切なことは、経営者の意思として、「何故その構造にしたか」、「何故その設備を導入したか」を説明できるようにしておくことです。企業として最初の設定思想を明確にし、QRM(品質リスクマネージメント)の手法を駆使して評価分析し、誰にでも理解できるように要求仕様を文章として記述し、いわゆる、適格性評価(DQ、IQ、OQ、PQ)を確実に実践し記録すること。
 
 最近、要求仕様が明確でなく、形式的に適格性評価を済ませ、関係者が見ても何が何だかよくわからない、文書は残されているが利用価値のない単なる「書類の山」になっている例をよく見かけますが、これは、「知識管理」ができていない状態であり、これでは構造設備の改善やメンテナンスにも支障をきたすことになるでしょう。
 
 プロセスの四要素(人、設備、製法、原料)のうち、構造設備はいったん建設し設備を設置してしまうと、その改善や変更に時間とコストがかかり容易ではありません。構造設備の設計段階で、議論を重ね、悔いを残さないようにしたいものです。
 

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執筆者について

中尾 明夫

経歴

株式会社シーエムプラス フェロー。
GMP Platform責任者。
1976年田辺製薬(株)入社。有機合成化学研究、プロセス化学(工業化)研究に従事後、品質保証部長、取締役生産本部長、常務取締役経営企画部長を歴任、合併後、田辺三菱製薬(株)常務執行役員製薬本部長。
FDA査察対応やPDA活動を通じ、「GMPはサイエンス」と確信。GMP教育の洗練化を目指す(株)シーエムプラスの企業理念に共感し、2011年(株)シーエムプラスに入社、2012年5月取締役副社長就任。2018年4月より現職。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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