【最近のFDAウォーニングレター12通の傾向】ASTROM通信<108号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2016.10.14】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー


こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

めっきり涼しくなってきましたが、いかがお過ごしですか?

さて、2016年8月1日配信のASTROM通信<103号>では、2016年4月1日から6月22日にFDAの製品品質オフィスから出された12通のウォーニングレターについて取り上げましたが、今回はその後に出された12通のウォーニングレターについて、その概要を確認していきたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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12件のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。
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■WL:320-16-21 英国の原薬製造の重大なCGMP違反に関する2016/6/30付
 ウォーニングレター
1.ぺニシン製造専用エリアから非専用エリアへの交差汚染を防ぐための
  適切な手順(または実践)を怠った。
A. ペニシリンの交差汚染非ペニシリン製造エリアで、2012年は69回、2013年は72回、2014年は30回、2015年は7月7日までに16回、ペニシリンをみつけた。貴社の設備や非ペニシリン薬の汚染を防ぐための管理は完全に不適切である。
非ベータラクタム薬のベータラクタム薬による汚染は、アナフィラキシーや死を含む重大なリスクを患者に与える。
B. ペニシリン検出方法のバリデーション
非ペニシリン製造設備内で、設備内で製造されたいろいろなタイプのぺニシリンを検出するための方法がバリデートされていない。
C. ペニシリン洗浄バリデーション
貴社は全ての表面からペニシリンを除染するためにXXを使っているが、洗浄バリデーションが製造をやめた原薬の除去に効果的であることしか示さなかった。貴社は洗浄バリデーションを改訂せず、製造をやめた原薬に用いた最初の方法が、査察時に製造していたペニシリン薬にも有効か示さなかった。貴社は、貴社の洗浄バリデーションを立証するデータや正当な理由を提供しなかった。
ペニシリンの製造に使用した建物について次の2つの選択肢のうちのどちらかを実施せよ。
 ・設備をぺニシリン専用にする
  ・設備を完全に除染する
2.重大な逸脱の適切な調査や是正処置・予防処置を怠った。
A. 水システムの微生物汚染
2014年4月20日から2015年2月17日まで、水システムの微生物汚染は、少なくとも25回、警戒レベルまたは対策レベルを超えて調査したが、根本原因を確かめなかった。25回の調査のうち16回は、裏付けする証拠がないのに、根本原因をサンプリングミスと結論づけ、残りの9回については、根本原因を究明しなかった。
B. バイオバーデン(薬液の生菌数試験)の規格外の原薬のバッチ
査察官は、3つのXXが規格を超えているのを発見した。しかし、バッチは生菌数試験が合格とされ、出荷された。
C. 原薬の中の異物
異物試験でバッチの中に次の異物を発見した:
 ・研磨パッドの緑の繊維
 ・製造工場の塗料の赤い断片
 ・ガラスの小片の黒い微粒子
貴社は、これらはそれ自体に内在する許容可能な汚染と結論づけた。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm511838.htm


■WL:320-16-22 中国の原薬製造の重大なCGMP違反に関する2016/7/19付
 ウォーニングレター
1. 品質を管理するための効果的なシステムの制定、文書化、実装を怠った。
供給者の品質、ラベルの貼り替え作業、サンプリング、製品出荷、文書保存、教育に関する文書化された手順がなかった。また、2014年9月以前のラベル貼り替え作業の記録を査察官に提出できなかった。
2. 原薬製造者から受け取った品質や規制当局の情報を顧客に伝えることを怠った。
貴社が顧客に発行するCoA(Certificate of Analysis:分析証明書)の情報をたびたび偽造、削除した。
たとえば、従業員の名前を偽造し、CoAの署名者の名前として使った。また、もともとの原薬製造者の名前と住所を削除し、もともとのバッチの証明書のコピーを付けなかった。また、貴社はリテストや使用期間の延長に関する基準を持っていないにも関わらず、製造者が表示した
使用期限を超えた“使用期限”をCoAに載せた。
3. 原薬の製造に使用する建物を清潔な状態に保つことを怠った。
査察中、査察者は、汚れた倉庫保管スペースについて記録し、設備内の倉庫に隣接した部屋でネズミをみつけた。
〇 査察中の情報へのアクセス
査察中、貴社は判断を誤らせたり、だまそうとしたりする発言をし、査察官が正確で本当の情報にアクセスすることを遅らせた。たとえば:
・査察中、従業員は、製造所内に医薬品はないと言ったが、査察官は、ラベルを
 貼り替えた医薬品のための倉庫として使われている部屋を発見した。
・同じ従業員が査察官に、2015年1月に医薬品のラベルの貼り替えをやめたと
 言ったが、査察中、査察官は2015年1月以降2016年1月まで医薬品を売って
 いたことを示す輸出医薬品リストをレビュした。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm512814.htm

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