【最近のFDAウォーニングレター12通の傾向】ASTROM通信<103号>

2017/07/10 その他

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2016.8.1】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー


こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

関東甲信越地方の梅雨も明け、いよいよ夏本番というところですが、いかがお過ごしですか?

さて、2016年4月1日配信のASTROM通信<95号>で、インドの製薬会社に対して発行されたウォーニングレター(WL:320-16-08)を取り上げましたが、その後も、FDAの製品品質オフィスから続々とウォーニングレターが発行されています。
そこで、今回は、前回以降に発行された12件のワーニングレターについて、概要を確認していきたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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12件のウォーニングレターの概要
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■WL:320-16-09
 インドの製造所の最終医薬品の重大なCGMP違反に関する
 2016/4/1付ウォーニングレター
1.規定した仕様や規格の順守を保証するために必要な全ての試験から得られた完全なデータを含むラボの記録の保証を怠った。
2.主生産及びその管理の記録、または、その他の記録の変更は、承認された職員しか変更できないことを保証するためのコンピュータや関連システムの適切な管理の実施を怠った。
3.製造する医薬品が均一性、含量、品質、純度を備えていることを保証するために設計された製造及び工程管理の手順に従わず、作業の実施と同時に記録することを怠った。
4.製造する医薬品が均一性、含量、品質、純度を備えていることを保証するために設計された製造及び工程管理の手順を適切に文書化して制定することを怠った。

■WL:320-16-10
 インドの製造所の原薬製造におけるCGMPからの重大な逸脱に関する
 2016/4/14付ウォーニングレター
1.品質関連の顧客苦情の、制定された手順に従った記録と調査の不履行
2.全ての製造の逸脱のレビュと調査の不履行
3.不正アクセスやデータの変更を防ぐための十分なコントロールをしないという、コンピュータ化システムの不具合
4.原薬が制定された規格や品質及び/または純度に合っていることを保証するための適切なテスト手順がないこと

■WL:320-16-11
 中国の製造所の原薬製造におけるCGMPからの重大な逸脱に関する
 2016/5/12付ウォーニングレター
1.規格外の試験結果の適切な調査や適切な是正処置の不履行
2.不正アクセスやデータの変更の予防の不履行、データの改ざんや削除を防ぐ適切な管理の提供の不履行
3.作業が行われた時に記録を作ることの不履行、ローデータの破棄

■WL:320-16-12
 ドイツの製造所の原薬製造におけるCGMPからの重大な逸脱に関する
 2016/5/16付ウォーニングレター
1.原薬の安定性をモニタし、適切な保管条件やリテストまたは使用期限を守る目的でその試験結果を利用するために行う、文書化された現在進行中の安定性試験プログラムの不実施
2.製品や原薬の管理に影響のある全ての変更を評価する変更管理システムの制定と順守の不履行及び 変更が原薬の品質に与える可能性のある影響の評価の不履行
3.逸脱結果の適切な調査の不履行
4.不正アクセスやデータの変更を予防するためのコンピュータ化システムの十分な管理の不実施と、データの削除を防ぐ適切な管理の提供の不履行

■WL:320-16-13
 インドの製造所の原薬製造におけるCGMPからの重大な逸脱に関する
 2016/5/19付ウォーニングレター
1.中間体及び原薬のバッチについて、規格に合致するか判断するために、適切なラボのテストが実施されたことを保証することの不実施
2.不正アクセスやデータの変更の防止の不履行と、データの改ざんや削除を防ぐ適切な管理の提供の不履行
3.重大な逸脱の不適切な調査 または 仕様や品質規格に合致させるための処理の不履行

■WL:320-16-14
 イタリアの製造所の原薬製造における重大なCGMP違反に関する
 2016/5/20付ウォーニングレター
1.清掃、保守、適切な作業を行うために、適切な建物において医薬品の製造、処理、包装、保持するために使用される設備を持つことを怠った。
2.故障や、当局やその他の要求を超えて、医薬品の安全性、均一性、含量、品質、純度を変える汚染を防ぐために、適切な間隔で、装置や器具を清掃し、メンテナンスし、薬の性質にあうよう消毒または滅菌することを怠った。
3.成分、医薬品容器、容器蓋、中間材料、ラベル、医薬品が均一性、含量、品質、純度の適切な規格に合うことを保証するために設計された科学的に妥当で適切な仕様、規格、サンプリング計画、テスト手順を含むラボの管理を行うことを怠った。
4.試験手順が、原薬が制定された品質及び/または純度の規格に合うことを保証するためには、科学的に妥当で適切ではない。
5.原薬の製造に使用される建造物や設備が、好ましくない微生物学的汚染物質にさらされることを制限するために設計され、建設されていない。

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執筆者について

橋本 奈央子

経歴 株式会社プロス CSマネージャ
製薬企業向け生産管理システムの導入、バリデーション作業に従事。
コンピュータ化システムバリデーションにマンパワーをかけられない中小の製薬企業にて、バリデーション作業支援を実施。
規制当局のサイト等から、最新の規制動向や指摘事例を収集し、月2回ASTROM通信にてご提供。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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