医薬品製造設備の洗浄バリデーション【第5回】
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-洗浄手順書の作成、再バリデーション、及び最近の「交叉汚染の防止と残留許容基準値のEU-GMP改訂案」(2013年1月パブコメ)についての解説等-
(1)洗浄の過程(予備洗浄→本洗浄→乾燥)、洗浄媒体とその使用量、温度等の条件(水→温水→溶媒・洗浄剤→仕上げリンス)、洗浄用具(モップ、布、掃除機)、洗浄手段(マニュアル、CIP)とその洗浄時間、乾燥条件、保管(環境、時間)等を可能な限り詳細に文書化する。
(2)品目切り替えの場合と同一品目のロット間・工程間の場合では洗浄方法が異なる場合、それぞれについて手順書を作成する。
(3)水溶性残留物の除去プロセスと非水溶性残留物のプロセスを別々に行っている場合は、洗浄溶媒の選択と洗浄方法を明確にすること。例えば、残留物が水溶性の場合にはどのような水を使い、非水溶性の場合にはどのような溶媒を使って、どのように洗浄するのか等の具体的な記述をすること。
(4)製造行為が終了してから、洗浄作業の各ステップに入るまでの時間を規定すること。製造工程で残留物が乾燥してしまう等により洗浄作業効率への悪影響を考慮する。
(5)機器の構造上、洗浄しにくい箇所を指定して手順書に記載し、洗浄しにくい箇所を重点に洗浄後の清浄度の評価をスワブ法で確認できるようにしておくこと。具体的には、機器毎にパーツの特定部位のうち、洗浄しにくい場所、残存しやすい部分を図示し、どの部位をスワブ法で評価するのかを指示する等( 4.1項4)サンプリング箇所の選定 参照)。
(1)洗浄した過程については可能な限り詳細に記録として残しておくこと。
(2)個別の機器あるいはシステムに対して、そのシステムや機器の洗浄の複雑さ、オペレーターの能力・訓練等を考慮し、個別に洗浄手順書を作成すること。例えば、より複雑な洗浄手順が必要となった場合、洗浄履歴・洗浄後の残留レベル、検査結果等の変動に伴ってそれに対応する洗浄手順が必要となる場合等である。
(3)機器あるいはシステムのどの部分を清浄にしなければならないのか、溶剤による自動洗浄ではなくマニュアル洗浄する理由、バッチ間、品目間のマニュアル洗浄では、どの程度のむらが生ずるのか等を評価すること。
(4)洗浄剤等を用いる場合には、洗浄後それらの除去について確認すること。
(5)製造行為に引き続く洗浄作業が終了してから、次回の製造までのホールドタイムを設定し、その妥当性を検証する。
(6)機器の洗浄において微生物学的な側面を考慮する。すなわち、洗浄作業が製品中の微生物またはエンドトキシン量を管理する必要のある製造工程に関わるものである場合には、その洗浄手順は微生物汚染およびエンドトキシン汚染防止を勘案したものとする。これは、汚染の除去よりも予防対策が主であるが日常の洗浄や機器の保管で、微生物の増殖を起こさない何らかの証明をすること。例えば、機器は保管前に乾燥する、洗浄作業後に凝縮水を貯めないこと等。また、モップの乾燥あるいは再使用不可とする等の洗浄用具の取り扱いについての記載があること。7)
(7)手順書が通常の製造時に有効であることを保証するために、バリデーション後適切な間隔でモニタリング(電気伝導率試験の間接試験、リンス液のサンプリングによる分析試験または目視検査等)を行うこと。モニタリングの実施結果において、どのような間接試験方法も、その時の装置の状態との関連性(例えば、バリデーション中に洗浄していない装置は、間接試験で不合格となることを文書化しておく等)を示しておくこと。
なお、無菌工程でのパイロジェンの管理からも洗浄プロセスの後に、無菌工程または微生物が増殖しやすい品目の非無菌工程に使用される機器は、バリデートされた方法で滅菌または消毒をすること。
なお、GMP/QMS事例集 洗浄バリデーション GMP13-56~66(2006年)の再バリデーションの項に留意すること。
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