医薬品製造設備の洗浄バリデーション【第3回】

2012/11/26 施設・設備・エンジニアリング



-対象の設備機器、対象物資の選定、洗浄手順の設定-
 
4.Validationの一般要件と法規制
 洗浄バリデーションの基本コンセプトとしては、次の通りである。すなわち、「医薬品の有効性および安全性を確保するためには、承認された成分以外のものが含まれていないことが必須である。そのためには、製造環境からの異物を混入させないこと、および製造設備に付着した残留物を次に製造する品目に混入させないことが重要である。製造の残留物の次製造品目への混入は、全ての設備・機器を洗浄し、清浄化することにより防止できる。」
 
4.1 検討すべき内容
1) 洗浄対象の設備機器
対象設備機器は、交叉汚染防止の観点から品目間切り替え洗浄と工程間・ロット間切り替えとは区別する。
 
(1)品目間切り替え洗浄時:当該品目に用いられる全ての機器を対象にする。例えば、粉砕機、乾燥機、反応機、ろ過機等。この他、粉体を扱う管理区域等については、粉塵および環境(人、物、機器表面、空気)からの交叉汚染防止のため、部屋内の清掃も必要になる。
(2)一品目の工程間・ロット間切り替え洗浄時:原薬では前回生産時で使用した設備・機器に残留し、次回生産時に不純物として混入する場合には洗浄が必要となる。ただし、残留する中間体が安定でありその中間体がそのまま次工程の原料となる場合や、連続する生産において同一乾燥機で同一品目を乾燥する場合などは、中間体の安定性を確認した上で簡易な洗浄が可能である(ICH Q7, 12-70参照)。
 

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執筆者について

高平 正行

経歴 エイドファーマ 代表
NPO-QAセンター 理事 事務局長
1979年塩野義製薬(株)入社。製薬プラントの立上げ、医薬品製造管理者、合成研究等の製造業務を経て、品質保証部へ転出。信頼性保証本部 品質保証部 次長として、GMP統括管理、GQP品質保証業務(出荷判定、逸脱・品質不良、変更管理、苦情・回収)、国内外にある自社製品関連170箇所製造所のGQP/GMP/QMS/CMCの信頼性保証、医薬品・診断薬・医療機器製造所のGQP/GMP/QMS適合性監査などを約10年間統括する。また、医薬品医療機器総合機構一変・軽微変更、製品管理業務、国内外の医薬品品質保証ガイドライン等のカスタマイズ化にも従事する。
2011年12月より(株)エースジャパン 取締役 製品戦略担当。医薬品の原薬、中間体を中心とした品質保証、製造・試験、製造販売管理全般にわたり経営の視点から携わる。
2016年6月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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