ラボ・生産設備における省エネルギー化【第1回】

1.はじめに
 今回、GMP施設における省エネルギー対策に関する簡単な説明を、株式会社 シーエムプラス殿ホームページをお借りして紹介する機会を得た。まず第1回として、社会一般の動向とGMP施設の省エネの特徴に関して記述したい。第2回目から具体的な事例を含みながら解説していきたいと考えている。未熟な部分が多々あるとは思いながら、現役時代の経験をもとに紹介したいと考えている。概略であるので全ては紹介しきれないが、簡易になるべく事実に即した形で説明をしたいと考えている。
 
1.1法規制の流れと分析
 地球温暖化防止のために、COP3において京都議定書が採択されたのはいつのことだったろうか?1997年(平成9)京都で開催された気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)において採択された議定書のことで、筆者が省エネに本格的に興味を示した時代で既に15年も前のことになる。
 
 ただし、全参加国排出量の55%以上の削減が必要と発効の条件にあるが、世界第2位のアメリカ合衆国などがこれを批准しておらず、またオーストラリア、ロシア連邦なども受け入れの判断を見送っていたため、2004年ごろまでは議定書の発効が行われていない状況であった。しかしながら2004年に、ロシア連邦が批准したことにより、2005年2月16日に発効し、日本においても、2005年1月26日に公布及び告示され、同年2月16日から効力が発生している。  
 
 先進諸国の中で唯一京都議定書から離脱しているアメリカ合衆国政府は、産業界の自己経済利益のみを追求する考え方に基づき取り組みを拒否しているとの非難を国内外から浴びている。同様に離脱していたオーストラリアでは世論の高まりを受けて総選挙により政権交代し、直後の 2007年12月3日に批准した。
 
 議定書で決められた各国の温室効果ガス6種の削減目標は2008年から2012年までの期間中に、3条で6種の合計排出量を1990年に比べて少なくとも 5%削減することを目的と定め、続く第4条では、各締約国が二酸化炭素とそれに換算した他5種以下の排出量について、以下の割当量を超えないよう削減することを求めている。(ただし、先進国対象)残念ながら我が国ではこの目標を達成しておらず、あろうことか排出量は増加の一途をたどっている。もちろん企業などからの大口排出量はその努力により減少、もしくは維持の方向であるが、一方の民生の排出量は大幅に増加しているのが現状である。
 
 ところで日本の省エネ法はもともと石油危機を契機として1979年に制定された法律であり「エネルギーの使用の合理化に関する法律」という、「内外のエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保」と「工場・事業場、建築物、 機械器具についてのエネルギーの使用の合理化を総合的に進めるための必要な措置を講ずる」ことなどを目的に制定されている。余談となるが筆者が社会人として原子力産業の一部分での仕事を始めた時期と重なる。
 
1.2省エネ法概要
 省エネ法では規制と義務罰則などを定めている。その概要は以下の通りである。
 

 
 法改正では一番大きな改正ポイントは対象が「事業所」ではなく「事業者」が対象になり、これまでの事業所単位から事業者単位に変ったことである。従来は大規模工場が主な対象だったが、これからは、製造業以外の一般企業でも、全事業所のエネルギー使用量が一定基準を超えれば、規制対象になる。
 
 また対象企業に指定された場合、次の義務が課せられる。
 a)エネルギー管理者の選出
  対象企業は、エネルギー管理統括者と管理企画推進者を1人ずつ選任しなければならない。
 b)継続的な報告書の提出
  毎年、定期報告書と中長期報告書を提出しなければならない。
 c)削減努力目標
  毎年1%のエネルギー消費原単位の削減努力目標も課せられる。
 
 地方自治体では東京都の場合、「東京都環境確保条例」への対応も求められ、その他の地方自治体でも規制が強くなっている。
東京都は、「2020年までに東京の温室効果ガスの排出量を2000年比で25%削減する」という目標を掲げていた。これを受けて08年に「環境確保条例」が改正され、2010年以降、大規模事業者に「温室効果ガスの総量削減」を義務化したことが大きなポイントとなる。未達成の事業者や命令違反には、罰則を科す厳しい内容になっている。都内約1,400事業所がこの制度の対象となるとみられている。
 
 そのほかにも、埼玉県、静岡県、岐阜県、愛知県三重県などにも温暖化規制に関する規制が広がっている。

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