ラボにおけるERESとCSV【第77回】

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これからのQA業務のためのCSV/データインテグリティの基礎とその監査方法
~製造とラボにおけるFDAのDI指摘500事例をふまえ~
7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。
■ MMM社 2019/7/30 483
施設:製剤工場
■Observation 3
分析データの計算にスプレッドシートが使用されている。計算結果が入っているスプレッドシート電子ファイルはサーバーに保存されているが、QC職員により、変更や削除ができてしまう。
これはスプレッドシートによる計算結果を電子的に保存することを求めた指摘ではない。この会社の方からこの指摘に関して以下の説明があった。
◆ 計算結果のスプレッドシートを電子的に保存することを求めた指摘
ではない
◆ 計算結果のスプレッドシートを電子的に保存するようにしたら、そ
の保存方法が不適切であると指摘された
スプレッドシートによる計算結果の保存は、プリントアウトで保存してもよいし電子記録のまま保存してもよい。ただし、それぞれ留意すべきことがあるので以下に紹介する。
■テンプレートと計算結果プリントアウトの管理
標準計算フォームとして同じスプレッドシートを繰り返し使用する場合、そのスプレッドシート・テンプレートと計算結果プリントアウトの管理方法を以下に紹介する。
1) バリデート済みテンプレートの保護
① 入力セル以外は改変からパスワード保護すること
• パスワードは機密管理
• テンプレートのユーザーがパスワードを知っていると指摘される
② ファイル削除から保護すること
③ バックアップすること
2) テンプレートの版管理
① テンプレートを版管理すること
② テンプレートの版番号を識別できること
• 版番号が画面表示されること
• 版番号が計算結果のプリントアウトに印字されること
3) テンプレート(電子ファイル)を旧版を含め保管すること
4) テンプレートにより計算を実施し、計算結果をプリントアウト
① 入力データを含めてプリントアウトすること
② 入力データの自己点検を行い、入力ミスがあれば入力を修正す
ること
③ 自己点検した計算結果をプリントアウトすること
5) 自己点検済み計算結果のプリントアウトへ実施者が日付記入しサイ
ンすること
6) レビュアーが「自己点検済み計算結果のプリントアウト」において
以下を確認すること
① 最新版のテンプレートが使用されているか確認
② 入力データが正しいかオリジナルデータとのつきあわせ確認
(★このつきあわせチェックの記録を保存していないと指摘される)
7)上記の確認後、レビュアーがプリントアウトに日付記入しサイン
8)実施者とレビュアーの両名がサインした計算結果プリントアウトを
GMP記録とする
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