試験室管理について【第2回】

前回、「試験室管理」とは、『管理職による「職員が適切な管理状態で試験を実施しうる背景(ルール)作り」と「試験の結果を適正に判断する能力の確保」』及び『職員による「ルールに従い着実に業務を実施する能力」と「不具合を発見できる能力の確保」』の両輪が互いに相まって初めて出来るものです。と言うお話をさせて頂いておりますが、今回は、その『管理職による「職員が適切な管理状態で試験を実施しうる背景(ルール)作り」』をする上で大切な構造設備を、「建物としての必要な条件」と「設備として必要な要件」の2つにわけ、「原薬GMP」などを引用しながら、お話をしていきます。
 
1. 建物としての必要な条件
原薬GMPには、製造に関し多くのことが記載されていますが、試験室及び検体採取については、あまり多く記載されておりません。「特定の作業区域又はその他の管理体制を設けること。」「特に試験区域・試験作業は、通常、製造区域から分離すること。ただし、特に工程内管理に使用する試験区域については、製造工程の作業が試験測定の精度に悪影響を与えず、また、試験室及びその作業が、製造工程、中間体・原薬に悪影響を与えなければ、製造区域に配置する場合がある。」との記載がある程度です。ですから、工程内管理に使用する試験区域以外の試験区域は、製造区域から分離することが最低条件となります。
では、工程内試験以外の試験室(以降、試験室と言う)は、製造区域から分離させすれば良いのかと言うとそうでもありません。
本当にそうであるか、試験結果に対するリスクから、ちょっと考えてみましょう。
例えば、無菌原末若しくは無菌製剤の無菌試験を、製造区域から分離された試験室である一般空調下で実施したとしましょう。試験の結果が「陰性」になった場合は、試験技術を含め運よく「陰性」になったに過ぎません。一方「陽性」になった場合は、「製剤が悪いのか」・「試験技術が悪いのか」どのように判断したら良いのでしょうか。あらゆる面からリスクを洗い出して対応していくことになるでしょう。そこで、無菌製剤の試験室については、GMP省令『第2条(定義)関係 「無菌区域」とは、作業所のうち、無菌化された製剤又は滅菌された容器が作業所内の空気にふれる場所、薬剤の充てん作業を行う場所、容器の閉そく作業を行う場所及び無菌試験等の無菌操作を行う場所をいうこと。』というように規制されていることになります。つまり、製造と同様の規制が掛かると言うことです。

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