GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第37回】
2020/10/02
品質システム

1.コンプライアンス
管理職がハラスメントで訴えられることを恐れ、指導が十分できないことが生じていることをテレビで見た。ちょっと注意したことがハラスメントとされることもあるだろう。学校でのいじめの問題にもあるように、する側とされる側の意識のずれ、感じ方によることが大きい。しかし、企業は仲良しクラブではない。人材育成は、企業としての利益追求に結びつかなければならない。そして、社会貢献につなげるべきである。製薬企業として、患者の健康に貢献しなくてはならない。製薬企業は、従業員一人一人にその意義を理解させる必要がある。
コンプライアンスとは、法令遵守である。しかし、その法令を守る意義を知らなければ、遵守することにならない。形式だけ守っても、その十分な効果を得ることはできない。そのルールがすべてのことを網羅することは、困難である。医薬品品質システムを考えても、年々と求められる点が厳しくなる。例えば、筆記用具として、鉛筆を現場に持ち込みは、「異物になる」と30年前は、指摘していたが、現代は、データインテグリティとして、「書き直し」ができると指摘される。文書管理ソフトや表計算ソフトであるWordやExcelは、上書きができるという点で、「データインテグリティが確保できない」とその使用を指摘される。コンプライアンスと言っても、常に求められる点は厳しくなるが、その意味を知ることで、十分な対応ができるのである。

コンプライアンス1)とは、一般的には、企業や組織が法令や倫理といった社会的な規範から逸脱することなく適切に事業を遂行することを意味する言葉。「法令遵守」と訳されることが多い。「企業コンプライアンス」や「ビジネスコンプライアンス」などと呼ばれることもある。
コンプライアンス研修と称して、ハラスメント研修を実施する企業も多い。ハラスメント対策も重要であるが、製薬企業において、ハラスメント問題だけがコンプライアンスではない。法令遵守という意味からは、製造販売承認との齟齬対応やGMP遵守こそ、コンプライアンス対応すべきと言える。多くの製薬企業で、承認書の齟齬対応やGMP遵守は行っていると答えるであろうが、本当にそうであろうか。経営陣は、その工場における課題を把握しているだろうか。経営陣が各工場の品質に関する問題点を把握するのは、マネジメントレビューによらなければならない。しかし、製造管理者から経営陣に、きちんと、問題点が伝わっているか疑問に思うことがある。経営陣は、その問題点を知り、その対策として必要な資源を提供し、その問題を解決することにより、品質の維持を図らなければならない。その資源とは、設備であり、人材である。GMP省令2)では、次のように、有能な職員の確保を求めている。
(職員)
第六条
3 製造業者等は、製造・品質管理業務を適切に実施しうる能力を有する人員を十分に確保しなければならない。
しかし、優秀な人材を新たに雇い入れることは困難である。その為に、教育訓練が必要になる。教育訓練は上から目線で行うべきものではない。現場において、その作業に必要な知識や技能を習得するためのものである。現場から必要な知識や技能について、経営陣に対して発信していかなければならない。経営陣はその要望に応え、必要な教育訓練の場を提供する必要がある。そのような環境づくりが重要である。その環境こそがクオリティーカルチャーとなる。第六条
3 製造業者等は、製造・品質管理業務を適切に実施しうる能力を有する人員を十分に確保しなければならない。
管理職がハラスメントで訴えられることを恐れ、指導が十分できないことが生じていることをテレビで見た。ちょっと注意したことがハラスメントとされることもあるだろう。学校でのいじめの問題にもあるように、する側とされる側の意識のずれ、感じ方によることが大きい。しかし、企業は仲良しクラブではない。人材育成は、企業としての利益追求に結びつかなければならない。そして、社会貢献につなげるべきである。製薬企業として、患者の健康に貢献しなくてはならない。製薬企業は、従業員一人一人にその意義を理解させる必要がある。
コンプライアンスとは、法令遵守である。しかし、その法令を守る意義を知らなければ、遵守することにならない。形式だけ守っても、その十分な効果を得ることはできない。そのルールがすべてのことを網羅することは、困難である。医薬品品質システムを考えても、年々と求められる点が厳しくなる。例えば、筆記用具として、鉛筆を現場に持ち込みは、「異物になる」と30年前は、指摘していたが、現代は、データインテグリティとして、「書き直し」ができると指摘される。文書管理ソフトや表計算ソフトであるWordやExcelは、上書きができるという点で、「データインテグリティが確保できない」とその使用を指摘される。コンプライアンスと言っても、常に求められる点は厳しくなるが、その意味を知ることで、十分な対応ができるのである。

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