GMPからQMSへ飛び込んだら(その1)

 のっけから私事で申し訳ないが、最終滅菌を伴う注射剤の製造管理、品質管理に四半世紀以上携わったあと、ある日突然、滅菌医療機器の品質システムの担当をやれと辞令をいただき、悪戦苦闘の日々がほぼ一年続いた。当初は医薬品GMPが理解できていれば医療機器のQMSなんぞは簡単にわかるだろうと、たかをくくって、医薬品目線で上から見ていたのだが、これは明らかな思い違いであった。
 そもそも医薬品の剤型に相当する医療機器のカテゴリーは4,500以上に及ぶ。考えてみれば手術用のメス一本からMRIまですべてが医療機器という名のもとに製造販売されているわけだ。従い、医療機器の品質システムであるQMSはかなり概念的になってしまう。わたくしが医療機器の世界に飛び込んだのは2005年。当時改正薬事法が施行され、日本のQMS省令(169号)とISO13485(2003年)の整合がとられるようになった。医療機器もその製品の持つリスクの度合いにより、日本ではクラスIからIVまでに分類され、クラス別に薬事申請の方法が変わり、クラスIIの医療機器の認証やQMS適合性調査に認証機関がかかわるようになった。
 今回から3回にわたり、これから医療機器メーカーと何等かのコラボを検討されている医薬品メーカーの皆さんに医療機器QMSを少しでも知っていただくために雑文を書き綴りたいと思う。
 
 医療機器の品質システムを勉強するようになって最初にびっくりしたのは、医療機器の開発設計をスタートさせる時点で少なくとも設計管理の品質システムは存在していないと、のちの薬事申請のSTED(Summary of Technical Document)が作成できないということだった。GMPではCMCの後半部分でスタートするのが一般的であるのに対して、製品がまだ存在しない開発段階から医療機器の場合はQMSが要求されているということだ。これは手ごわいぞと腹をくくり医薬品の上から目線をやめて真面目にQMSを勉強し始めた。このおかげでのちに医薬品メーカーとコラボする際に、医薬品メーカーの方への説明がスムーズに、いいかえるとGMPしか頭の中にない方への翻訳ができるようになった。
 では、ここでGMP経験者がみたQMSのポイントを簡単に整理してみたい。

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