GMPからQMSへ飛び込んだら(その2)

2015/10/15 医療機器

 今回はQMSの中でも最も重視されていると言ってもいいCAPAについて私論と若干偏見に基づいた砕けた話をさせていただくことする。継続的な改善を求めている医療機器QMSの中ではその改善のためのドライヴィング・フォースとしてCAPAは位置づけられているからである。QMSは常にBetterを追及していく使命を負っているのである。

 医薬品GMPの世界で逸脱管理といわれるものは医療機器QMSの世界ではCAPA(Corrective Action & Preventative Action)と呼ばれている。逸脱管理については2004-5年ごろから諸学会でどう対応すべきかという議論が随分となされてきて、最近では、逸脱というものは規定された諸規格、諸手順から外れたもの、行動などを取り扱うというのが一般的になってきており、事象そのものに関してのコンセンサスはだいたい取れてきているように見える。一方、逸脱事象の再発防止などの是正策について、どこまでの深さでやるべきかという点では、さまざまな考え方が混在しているのが現状と筆者は捉えている。
 
 一方、医療機器のCAPAはやたらとダイナミックであるというのが最初の印象であった。そして、それは今も変わらない。修正(Correction)や是正(Corrective Action)として医療機器そのものの設計さえも変更してしまうことがよくあるからである。医薬品の場合、逸脱対応の抜本策として剤型の変更などそうあるものではないと思う。この違いが医薬品から医療機器に入ったわが身には大きな衝撃であった。
 そもそもCAPA活動の引き金となるものは実に多い。ここではまずCAの部分だけに絞って話をすすめてみたい。製造工程での想定外の不良品の発生、予期せぬ製造設備の故障、顧客からの苦情、内部品質監査での指摘事項、外部からの監査での指摘事項、マネイジメント・レヴューでシステムに改善が必要と結論付けられる、品質システムのルールを外れての行動、などなどこれらはすべてCAの引き金となる。QMSでは品質文書の中にだいたいCAPA手順書を持つことが多く、具体的な引き金はその中に記されることが多い。
 さて、CAが発動されるためには、発動するぞと宣言する権利を有する者がいいださなければならない。その後はCAPA委員会のようなものの中で具体的な進め方を検討していくというような流れが現在一般的である。CAの進め方として具体的には次のようなステップを取る。

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執筆者について

佐野 光彦

経歴 株式会社シーエムプラス GMP Platform シニアコンサルタント
薬剤師、臨床検査技師
1978年テルモ(株)入社。注射剤、採血用バッグの製造管理、品質管理を経験後、薬事担当としてFDA申請を行う。その後、PJリーダーとしてCEマーク取得のためのISO9001認証取得。インド子会社設立に携わる。また製造管理者としてプレフィルド・シリンジ製造工程立ち上げ、改正薬事法(2005年)対応を実施。2011年からはベトナム、フィリピン、山口子会社のバリデーション、GMP/QMS確立を指導。2015年8月(株)シーエムプラス入社。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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