ASEAN薬事規制とASEAN CTD(ACTD)作成のポイント【最終回】


 

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ACTRの概要
 ASEAN諸国への薬事申請にはACTDとは別にACTR ( ASEAN Common Technical Requirement )として5つのガイドラインが示されている。ACTD作成にはこれらのガイドラインも参考にして作成することが必要である。
 
1.プロセスバリデーション(PV)ガイドライン
プロセスバリデーションは、要求される品質を満たした製品を定常的に生産するための製造工程を確認する手段であり、生産過程における重要な工程の一貫性や再現性を示す根拠となる資料も含まれる。このガイドラインはPV実施方法についての指針であり、医薬品登録申請や変更申請の際に必要な資料や実施方法についてのガイドラインを示している。この指針は原薬および他の出発物質の製造方法について規定しているのではなく、あくまで最終製品の製造工程を評価し、確認するためのものである。また、生物工学的製剤や生物学的製剤についてはさらに追加資料が必要な場合があるのでガイドラインを参考にされたい。基本的にPV資料は連続した3バッチを評価して作成され、1)開発の経緯、2)バリデーション計画書、3)PV報告書などから構成される。
 
2.生物学的利用率(BA)/生物学的同等性(BE)ガイドライン
同じ有効成分を含む2つの医薬品の治療効果を比較する場合、同じ血中濃度時間推移を示せば基本的にそれら2つの製剤は同じ効果を示すと考えられる。このように生物学的同等性とは治療効果で評価するのではなく、薬物動態学的なデータで評価される。従ってBA/BEガイドラインでは薬物動態学と薬力学の観点から論述することが必須とされており、これら分野の専門知識が求められる。加えて試験法はICH/EU規制に則り、GCPを遵守した試験が行われなければならない。BA/BE評価を行うためには実験デザイン、対象の選択、データ分析や統計解析など、標準化された試験法で科学的に実施し、評価されなければならない。
 
3.安定性試験ガイドライン
安定性試験は医薬品の品質保証期間を定めるために実施され、製品の品質、安全性および有効性を保証するための重要な試験であり、ガイドラインには標準的な実施方法や試験条件などが示されている。基本的に安定性試験はICHの「品質に関するガイドライン」に示されている内容で問題ないが、異なる点もあるので注意が必要である。例えば長期保存安定性試験の保存条件はASEAN諸国への申請には30℃±2℃75%RH±5%RHの条件での試験が必須である。また、テスト間隔も初期、3、6、9、12、18、24ヶ月以降推定される保証期限までというように記載されている。特に長期保存試験の場合は時間がかかる試験であり、且つ必須項目であるため注意が必要である。
 
4.分析バリデーションガイドライン
基本的にASEAN CTDにおける分析バリデーションガイドラインはICHの「分析バリデーション」に従っているため、ICHガイドラインに従った試験がされていれば問題ない。分析バリデーションガイドラインの試験内容は、1)確認試験、2)不純物の定量試験、3)不純物の検出限界、4)有効成分の定量法の4つから構成されている。確認試験は検体の特性を把握するために行われ、吸光度やクロマトグラフィー、化学反応試験などで実施される。不純物試験については定量試験並びに検出限界を定めるためのものであり、検体の純度試験と同様に扱われる。ACTDの施行が不良医薬品の排除も目的の一つとされていることからも不純物(純度)に対する分析バリデーションは重要項目のひとつとなっている。有効成分の定量に関しては品質、安全性、有効性を担保するための基本的な試験項目として位置付けられる。
 
5.バリエーション(変更)ガイドライン
ASEAN CTDガイドラインに記載されているメジャーバリエーション、マイナーバリエーションの定義は漠然としていて非常に曖昧である。そこでACTRで新たにバリエーションガイドラインが示され、より具体的な事例としてメジャーバリエーションでは16例、マイナーバリエーションで35例、マイナーバリエーションに関する届け出事例10例が示され、より具体的な形として整理された。ここで注意しなければならない点は変更内容の条件によってメジャーバリエーションに該当する事例、マイナーバリエーションに該当する事例があることである。例えば原薬の製造所を変更する場合では、条件として欧州薬局方(EP)証明書の有無が挙げられ、ある場合とない場合で必要な提出資料が異なる。このように変更する内容と条件によって必要な審査資料が異なるのでガイドラインの条件を確認して変更申請を行う必要がある。

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