通訳あるあるネタ【第6回】

2018/12/14 品質システム

査察中に雲行きが怪しくなることはあります。前回書いたように、査察官は長旅の疲れと時差ボケでベストコンディションとは言えませんし、応対する側は極度に緊張しています。技術者はそもそも自分の仕事を人に説明するのが苦手な人が多いです。やり取りに誤解が生じることもあるでしょうし、最初の説明を撤回して仕切り直しが必要なこともあります。そういう時に一番効果的なのは、休憩を取ることです。嫌な雰囲気を断ち切るために休憩を取ろうとしていることがあからさまだと査察官は不機嫌になるので、査察の最初から定期的に休憩を挟むとよいでしょう。QAが絶妙なタイミングで休憩を提案してくれると、一同救われます。「リクエスト頂いた資料を探すのに少し時間を要しますので、short breakはいかがでしょうか?」などと上手に提案すると、大抵受け入れられます。あくまでも、強制ではなく、提案することが大切です。査察の進行を決定するのは査察官ですが、「査察を効率的に進める」ことと、「工場の日常業務を妨げないこと」は、彼らの一番の関心事です。皆さんの業務時間や昼休憩の時間を尋ね、なるべく通常のスケジュールに沿って査察を進行しようとする配慮も感じられます。ですから、雲行きが怪しくなる前に、できれば最初の方で休憩のペースを作っておくことは必要です。ただ、査察官によっては休憩や昼休憩を好まない人もいますので、最初は無理強いをしないことです。昼休憩中も仕事をしたいと言われたら、「承知しました。執務部屋をご用意致します。何か御用がありましたら、お申し付けください。」などと切り返し、誰かが交代で御用聞きをするなど、cleverに対応しましょう。査察官が気づかないように、少しずつ自分たちのペースに持ち込めれば、ベストです。

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執筆者について

西手 夕香里(通訳・翻訳修士)

経歴 シミックホールディングス株式会社人財部Senior Interpreter
シミックファーマサイエンス株式会社信頼性保証本部薬事スタッフ(通訳担当)
Monterey institute of international studies (MIIS) 通訳翻訳修士課程終了。自動車関連大手企業で8年 (うち米国勤務が7年) 、米国系大手製薬企業で3年、社内通訳経験を積んだ後に独立。
規制当局によるGxP査察の通訳を中心に医薬分野でフリーランス通訳をしていたが、グループ会社の査察通訳がきっかけで2016年5月にシミックホールディングスに入社。非臨床と臨床を中心に、基礎研究から市販後までのプロジェクトに通訳・翻訳者として関わる。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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