エチレンオキサイド滅菌の実践知識【第1回】

1.エチレンオキサイド滅菌の特徴
1.1 エチレンオキサイドとは
エチレンオキサイドは、エチレンオキシド、EO、EtO、酸化エチレンなどとも呼ばれる化学物質です。(以下、EO)
分子式はC2H4O 、分子量約 44、沸点が10.7℃であるため、常温では気体(ガス)です。 分子量からわかる通り、気体のEOは空気より重く、二酸化炭素とほぼ同じ重さです。常温ではガスであるため、滅菌分野においてはしばしばEOG(EOガス)と称されます。

図1 エチレンオキサイドの構造式
 
EOと空気の混合ガスは、広い範囲で可燃性を持つため、医療機器などの滅菌用として使用されるEOは、取り扱いを容易にする目的で、多くは二酸化炭素との混合ガスとして提供されています。
EOによる滅菌は、60℃以下の比較的低温で処理されます。 そのためプラスチック、繊維、金属など様々な材質で構成される医療機器に広く適用されています。 しかしEOには爆発性がある、毒性がある、工程管理が難しいといった不利な面もあります。 本項では、EO滅菌の特徴から工程確立、バリデーション、日常管理を取りまとめて解説します。
 
1.2 EOの毒性
EOは、毒性が高く、発ガン性もあるため、日本産業衛生学会では、EOの作業環境中の許容濃度を1ppm と規定しています。 もちろんこの濃度では臭いはありませんので、滅菌装置やガスボンベが置かれている部屋については適切な換気を行うと共に環境のモニタリングを行わなければなりません。
作業中のEOとの接触や吸引を避けるため、EOのボンベを交換するとき、滅菌後に滅菌器の扉を開けるとき、ガスのサンプリングを行う時などは専用のマスク、グローブなどを着用する必要があります。 また社内でEOに接触する可能性のある従業員に対しては、EOの毒性やマスク等着用法についての教育訓練を行わなければなりません。
またEO滅菌を行った製品には、通常EOが残留します。 そのため、滅菌後製品をすぐに出荷することはできません。 残留濃度や安全なレベルまで減少するのに要する時間は、製品の材質や構造によって変わります。 バリデーション等で基準のレベルまで減少するのに必要な期間を検証し、その間出荷しないように製品を管理しなければなりません。

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