エチレンオキサイド滅菌の実践知識【第3回】

3. EO滅菌工程の確立
3.1 要求条件の明確化
次の状況を考えてみてください。
「あなたの会社では、画期的な医療機器を開発しました。 それは使い捨ての製品であるため、滅菌を行わなければなりません。 製品に採用されている素材の特性から、高圧蒸気滅菌や放射線滅菌は採用できません。 産業規模の滅菌ですので、事実上EO滅菌しか手段がありません。 また製品の特性より、50℃を上限として滅菌を行いたいと考えています。 滅菌工程を外注することも検討しましたが、最終的に社長の判断で、社内で滅菌を行うことになりました。 そして新たな滅菌装置の購入も承認されました。 あなたの会社では、今まで医療機器の滅菌を行ったことがありません。 また会社は労働安全衛生やコンプライアンスに非常に厳格です。」 さて、製品の発売までに、何をしなければならないでしょうか?
もちろん現実的には、予算的な問題、製品の承認/認証、医療機器製造業の許可取得などの問題がありますが、それらは解決済みであると仮定して、対象製品の滅菌に限って必要な要件を検討してみましょう。
 
大雑把な流れとしては、① 滅菌装置を選定し、購入し、 ② 製造場所に据え付け、 ③ 装置がきちんと作動することを確認し、④ 有効な滅菌工程を確立し、⑤バリデーションを行い、製品の無菌性が保証できることを検証し、ようやく通常の滅菌作業に入ることができます。
 
滅菌を行うという観点から、これらのステップを一つ一つ見ていきましょう。
 
まず明らかにしなければならないのは、顧客としてのあなたの要求です。 製品の製造ボリューム(将来的に増産を見込んでいるのであれば、それも勘案すること)はどのくらいか、1日当たり何回滅菌を行うか、製品の特性から温・湿度や圧力の上限はどのくらい設定すべきか、一次包装の形態はどのようなものか、どのような梱包状態で滅菌を行うのか、などを明確にすることが必要です。 (もちろん滅菌装置の選定に当たっては、その予算が重要な要素になりますが、これは本項では除外します。)
 
たとえば1日当たりの製造数量を3,000個とします。 そして製品形状から500個を1パレットに積載し、その状態で滅菌を行うとします。 つまり1日当たり6パレットの製品を滅菌処理する必要があることになります。 また工場は2交代で16時間稼働であるため、この時間内に2回の滅菌を行うこととします。 この場合、単純に考えますと、3パレットの製品を一度に滅菌できる装置を導入し、それを1日2サイクル稼働させる、ということになります。(現実には、装置の保守点検やトラブル時の対応も勘案する必要がありますので、ある程度の余裕を見ておく必要があります。)
 
滅菌用のガスを調べたところ、EOが10~30% のものが入手できることが分かり、業者に相談したところ、20%EOと80%CO2 の混合ガスが最も入手が容易で使いやすいとのことで、これを採用することに決定したとします。

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