エチレンオキサイド滅菌の実践知識【第2回】

2.EO滅菌工程の概要
先に述べましたように、エチレンオキサイドによる微生物の滅菌は、EO分子と微生物細胞のタンパク質や核酸などの生命に必須の物質との化学反応に基づいています。 化学反応ですので温度が高いほど反応速度は速く(= 速やかに死滅)なります。 しかしEOの性質として60℃以上ではEO分子同士が重合していきます。 そのため通常EO滅菌は60℃あたりを上限としてプロセスが確立されます。 もちろん熱による劣化が懸念される原材料を使用している製品では、60℃より低い温度で滅菌を行います。
 
滅菌において滅菌効果、すなわち付着している微生物の死滅に最も大きく影響を与えるのは、ガス処理を行っている最中のエチレンオキサイド濃度とその間の製品の温度です。 この2つのパラメータをきちんとコントロールすることが非常に重要になります。 しかし残念なことに、この2つのパラメータは直接コントロールすることはできません。 EO濃度は使用するガスの組成、残存空気、ガス投入圧力、温度で決まります。 温度(製品温度)は滅菌装置の外壁温度(ジャケット温度)、加湿工程、ガス気化器の条件でそれぞれ決まります。 滅菌装置で直接コントロールできるのは、通常はジャケット温度、圧力(減圧・加圧)、時間、ガス気化器温度、次工程への切り替えのタイミングです。 それらコントロール可能なパラメータを適切に組み合わせ、バラツキが少なく、再現性の高い工程を作り上げなければなりません。 しかもエチレンオキサイドガスは、種類によっては空気との混合割合で可燃性の気体となります。 万一滅菌器内が可燃域の混合気体ある時に火花が飛べば、爆発する可能性もあります。 そのため工程中に爆発域に入ることは極力避ける必要があります。
 
エチレンオキサイド滅菌のプロセスは、複雑なパラメータを組み合わせて設定されるため、工程の詳細は対象製品ごと、事業所ごとに変動し、決して一様ではありません。 以下に一般的なEO滅菌のステップを示しますが、すべての滅菌工程がこの通り進むというわけではありません。
 

1)プレコンディショニング* が必要な場合は、それを行う。 この工程を行う場合、プレコンディショニング時間の上限、下限を決めると共に、プレコンディショニングルームからの製品搬出から滅菌器に搬入し滅菌を開始するまでの時間を決めておくこと。

 

*Preconditioning。一定温度・湿度下での前処理。 この工程で滅菌前の製品を一定温度、一定湿度の状態にする。 前加湿などという場合もある。

 

2)滅菌装置の運転条件を予め決定された工程条件に設定しておく。 また滅菌装置のジャケット(滅菌器の内壁温度)、ガス気化器、クリーンスチーム用ボイラー等をあらかじめ既定の状態に調整しておく。

 

3)予め決められた要領で製品を滅菌器に搬入・積載し、必要なバイオロジカルインジケータやセンサー類を設置し、滅菌器扉を閉鎖する。 なおプレコンディショニングを行う場合には、必要なBIやサンプルは製品と一緒にプレコンディショニングを行うこと。

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