医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第64回】

日本製薬企業に求められる生産ラインの粉塵爆発対策技術
国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「日本製薬企業に求められる生産ラインの粉塵爆発対策技術」
1.製薬企業のあるべき姿
製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。日本国内製薬工場がその技術レベルで明らかに足りていないのは、プロセスリスクアセスメントとその対策です。製薬企業はGMPに適合する医薬品の生産技術でラインのトラブルや人的エラーで生産ラインを停止せねばならないような課題を100%克服する事が重要課題です。更に安定した医薬品の製造、そして供給が図られる為にHSE(健康安全環境)の生産各工程のリスクを特定し、評価し、対策する事でHSEリスクを低減するという、Global StandardのProcess Risk Managementを廻してゆく事で安定生産を担保する必要があります。これが重要な本業の「攻めのCSR課題」です。近年の医薬品生産プロセスで使用される各工程の機械は、複雑な電気回路や電気機構、空圧機構、油圧機構などにより構成され、重要な役割を果たしています。これをオペレーションしてゆく事は、技術レベルの高い技術者を抱えている事が求められています。なぜなら、近年の医薬品生産工程には高活性医薬品原料など、原末には粉塵爆発リスクの大きいものが取り扱われています。
粉塵爆発リスク
Q: どんな粉がもえるの? A: どんな粉でももえる
医薬品生産工場の全てのラインについて、プロセスリスクアセスメントとその対策を行い、爆発リスク低減をマネジメントせねばなりません。アセトンや化学物質による爆発リスクは誰でも知っていて、建物や設備に防爆対策を、建築設計の仕様の段階で建築会社や生産機械メーカーがその対策をプランしてきます。しかし、それ以外の、特に生産作業運用上の粉塵爆発リスクを仕様の段階で検討してくれる建築会社や機械メーカーは少ないので、医薬品生産工場が自らプロセスリスクアセスメントとその対策を実施せねばなりません。
どのような条件で粉塵爆発が発生するか、以下に事例を紹介します。
Q: どんな条件で爆発するの?
2.国内製薬企業の現状
しかし、国内医薬品製造工場の課題として、高いレベルの技術者がどこの会社にもいるわけではありません。どうしたらよいか分からず、機械メーカーに依存して機械単発で対策しているのが現状と伺っております。とりわけ、医薬品生産工場の生産工程をプロセスリスクアセスメントする事すら、Global Standardが無いような医薬品会社で、何をやっておけばリスクが低減出来るのか分からない会社があると伺っております。気になる方はあなたの工場の工場長さんにProcess risk assessment はどうなっていますか?と聞いてみて下さい。医薬品工場の生産工程は、製品種別毎に各種の工程が必要となります。その工程毎にどのような種類のリスクが存在しているか? 「生産機械導入時、生産機械移転時(Product Transfer)又は定期的に生産ラインの各工程のリスクハザードを特定・評価し、優先順位付けをしてリスク低減対策を実施する」というマネジメントを廻しているかという問いに、即座に答えられる医薬品会社のオペレーターが育成されている会社は少ないと聞いています。100円管理職者1)はこれをやっている会社が少ないならやらなくても良いのではないか、と考えてしまいます。この管理職者の下で働いている従業員さんは不幸ですね。従業員さんは学んで頂いてスキルを身につけることで、ご自分の曝露リスクや爆発リスクなど、健康安全リスクを低減してください。そして物言う従業員として、根拠のある提言を直属の上司のその上の管理職者にされて下さい。これにより、会社がビジネスに良い結果をもたらすように変わる事を期待したいですね。
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