≪解説≫2025年 改正薬機法【第9回(最終回)】
品質保証・安定供給・創薬環境の変革に対して企業として備えるべきこと
【第9回(最終回)】AI・DX化を活用した次世代GMPへの進化
今回の法改正が求める高度な品質保証と安定供給体制を実現し、頻発する品質問題の根本原因を断ち切るために、従来の管理手法からのAI(人工知能)やDx(デジタルトランスフォーメーション)化を活用した管理手法に変えていくことが社会的にも求められていると考えられます。
AIやDxを活用した次世代のGMP管理体制への移行をしていかなければ、この業界で生き残れないのではないでしょうか。
(1)製造・品質管理データの統合監視と将来的なAIによる異常検知等(Pharma 4.0(※))
製造設備からのセンサーデータやMES、LIMS等のデータを統合プラットフォームに集約し、リアルタイムで監視。AIを活用した異常検知アルゴリズムにより、通常のプロセスパラメータからの逸脱やOOS/OOTの予兆を早期に検知し、品質不良を未然に防止します。
※ 「Pharma 4.0」とは、ドイツが主導する製造業の国家戦略的プロジェクトである「インダストリー4.0(第4次産業革命)」の考え方を、医薬品産業(Pharmaceutical Industry)に適用したものです。
デジタル技術(AI、IoT、ビッグデータ等)を最大限に活用して、医薬品の製造プロセス全体を高度に自動化・最適化し、より高品質で安定的な医薬品供給を実現しようとする、次世代の医薬品製造のコンセプトを指します。
これは、単なる「工場の自動化」や「ペーパーレス化」といった部分的な改善に留まるものではありません。データの収集から分析、意思決定、そして実行までをシームレスに繋ぎ、製造プロセス全体を自己最適化させていく、より大きな変革を目指すものです。
(2)文書・記録の電子化によるデータインテグリティの抜本的強化
紙媒体での記録は、改ざんリスクや検索性の低さといった問題を抱えます。
また、膨大の記録の管理においてはその保管場所の確保や災害等による消失リスクなども存在します。
電子文書管理システム(EDMS)を導入し、監査証跡や電子署名を徹底することで、記録の信頼性を確保し、保存性・検索性の観点などからも日常業務への活用や査察対応の効率化などに大きく寄与します。
コメント
/
/
/
コメント