ラボにおけるERESとCSV【第128回】
FDA 483におけるデータインテグリティ指摘(98)
7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。
■ DDDDD社 2023/10/27
施設:原薬工場
■ Observation 5
分析データに対する監査証跡レビューが不適切である。特に;
BET比表面積測定装置を原薬サンプルと原材料サンプルに対し使用している。その装置の監査証跡に「測定エラー」「測定中断」「測定警報」「ファイル削除」などが繰り返し記録されている。例えば、2022/9~2022/11の間に以下の事象が記録されていた。
原材料サンプル
測定エラー 2回
測定中断 6回
測定警報 4回
測定中断 6回
測定警報 4回
原薬サンプル
ファイル削除 5回
ファイル移動 1回
ファイル名変更 15回
別ファイル名で保存 18回
ファイル移動 1回
ファイル名変更 15回
別ファイル名で保存 18回
しかるに、品質部門はこれら事象の原因調査を実施していなかった。さらに、これらの中断は何であったのか、なぜこれらのファイルが削除されたのかも調査していなかった。監査証跡レビューSOPは上記のようなシステムエラーを対象としておらず不適切である。したがってこのSOPでは、すべての電子記録に対するレビュー、記録、調査が不十分であり、データインテグリティ取り組みにおけるギャップとなる。
★解説:Observation 5
監査証跡レビューが不適切であるとのことであるので、監査証跡に記録されている各事象においてどのようなレビューが必要であったか解説する。なお、監査証跡とはざっくりいうと「人によるデータや設定の生成・変更・削除やシステム操作の履歴」である。したがって、「測定エラー」と「測定警報」は監査証跡ではなく装置が発生する「アラーム」や「システムメッセージ」であるが、これらについてもどのようなレビューが必要であったか解説する。
1)測定エラー
測定エラーやOOS(Out Of Specification)が発生した場合、分析の再実行が必要になる。その再実行が適切に行われ、測定エラーの発生を含め実施したことはすべて記録され良いとこ取りの分析になっていないことをレビューする必要がある。
測定エラーやOOS(Out Of Specification)が発生した場合、分析の再実行が必要になる。その再実行が適切に行われ、測定エラーの発生を含め実施したことはすべて記録され良いとこ取りの分析になっていないことをレビューする必要がある。
2)測定中断
そのまま分析を進めても期待したデータが得られないだろうと判断した場合、測定を中断して再度分析を実施することになる。しかしその判断が誤っていた場合、中断した分析が正しいにもかかわらず棄却してしまい、良いとこ取りの再分析結果を採用することになる。そのようなことにならないよう、測定中断と再分析が正しく記録され、測定中断と再分析の正当性が説明されていることをレビューする必要がある。
そのまま分析を進めても期待したデータが得られないだろうと判断した場合、測定を中断して再度分析を実施することになる。しかしその判断が誤っていた場合、中断した分析が正しいにもかかわらず棄却してしまい、良いとこ取りの再分析結果を採用することになる。そのようなことにならないよう、測定中断と再分析が正しく記録され、測定中断と再分析の正当性が説明されていることをレビューする必要がある。
3)測定警報
装置が発生する測定警報には様々なレベルがあり、測定/分析の品質に係る警報から品質に係わらない警報まである。品質に係る警報が発生した場合、適切な処置がなされたかレビューする必要がある。
装置が発生する測定警報には様々なレベルがあり、測定/分析の品質に係る警報から品質に係わらない警報まである。品質に係る警報が発生した場合、適切な処置がなされたかレビューする必要がある。
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