再生医療等製品の品質保証についての雑感【第76回】

第76回:細胞製造の品質マネジメントシステム (6) 
~ 製品の均質と原材料の均一と細胞原料 (2) ~


はじめに
 前回お話しした通り、細胞加工製品におけるバイオプロセスは、製品の同等性/同質性を考慮すると、本来、とても高い設計要求を満たす必要があります。これまでに、プロセスの制御のためにはインプットを整えることが重要であることをお話してきました。特に、細胞加工製品の品質マネジメントシステム構築では、インプットの原点である細胞原料の特性(MA: material attribute)に関する要求を理解し、自分たちが実際にどのようなインプットをプロセスに投入できるかを把握し、ギャップを評価することが不可欠です。

● 細胞原料の均一性確保と製品の同等性/同質性
 細胞加工製品に関する同等性/同質性評価とは、変更等が行われた場合に、製品の有効性と安全性に影響が生じていないことの確認ですが、この意図を製造者の立場として解釈するならば、変更前の製品が常に同等/同質の製品を供給できていること、および、何をどのように変更したかの詳細が明確であることが前提と考えます。安定して同じ(同質の)アウトプットを達成することは、プロセスを設計する以前に、インプットがいつも同じ(均一)であることが基本です。そうでなければ変更による品質への影響は正しく評価できません。
 細胞加工製品の特性が【同定不可】であることを考慮した場合、インプット(細胞原料)のMAが変更されることは、アウトプットの同質性が確保できず、有効性に係る同等性を確認できなければ、製品設計見直しとなるので本来は許容できないと考えます。そもため、ドナー間において細胞原料のMAが同一とならない体性幹細胞加工製品などの場合は、由来が異なる細胞原料が、同質かつ原料としての均一性を確保していることが要求されます。

● シングルセルクローンのマスターセルバンクが「あるとき」「ないとき」
 製品特性が【同定不可】である細胞加工製品の製造工程開発戦略では、マスターセルバンクを有する原料が確保できるか否かで大きく異なると考えます。

 

 

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