製薬事業所のペストコントロール【第1回】

 

はじめに


 製薬事業所に於けるペストコントロール(防虫防鼠管理)は、一般にGMPの「衛生管理」の中に位置付けられてはいるものの、GMP関連省令にその記述は殆どなく、薬局等構造設備規則(省令第二号)に若干の規定があるのみである。EU-GMPとcGMPについても同様で、施設設備に関する若干の規定と文書化要求が規定されてだけである。製薬各社はこれらの法規制を満たしつつ、整品品質に影響を与えないための管理規定、プログラム、手順書等を開発し、実行し、必要な改善を進めているが、中には悩ましい事態に直面している事業所も存在する。

 例えば、“現状の管理規定、プログラム、手順書は遵守しなければならないが、満足のいく昆虫の制御が実現していない。”、或いは、“特定の時期に、特定の昆虫類が出現し、施設に侵入する。有効な対策がない。”といった、ペストコントロールプログラムの実行の成果に係る悩みである。
 その他、例えば、“海外の規制当局による査察の際に、「なぜここにトラップを配置したのか」と問われ、理由を回答できなかった。”、或いは、“トラップ類を使った監視活動の頻度が、「一ヶ月に一度と規定している根拠は何か」と質問され、当局が満足する回答ができなかった。”といった、管理規定、プログラム、手順書に規定した内容の適格性評価や人材に係る悩みである。

 論理と科学に基づいた回答が求められる場面では、従来の管理規定や手順書だけでなく、対外的に理路整然と説明できるように準備することが必要となる。GMP省令の法規制の規定は、大まかには上述の通りであるが、その一方で、事務連絡「医薬品品質システムにおける品質リスクマネジメントの活用について」(平成27年7月7日)によれば、ペストコントロールは品質リスクマネジメントの対象とされ、複数ページに及ぶ例示が記載されている。この品質リスクマネジメントを活用することで、適格性評価に係る悩みはうまく解消できるかもしれない。
 

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