再生医療等製品の品質保証についての雑感【第24回】


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はじめに
 Quality by Design(QbD)とは、設計による品質の作り込みを意図した開発経緯の概念で、日欧米医薬品規制調和国際会議(ICH)の品質ガイドラインQ8(R2)に基づいています。その手法は、製剤開発をされている方には常識かと思いますが、再生医療等製品の開発・製造においても同じように適用できるかを含め、異なる考え方の構築が必要となると認識します。本稿では、再生医療等製品におけるQbDの位置づけと、その課題について雑感を述べさせていただきます。

● QbDの基本概念と再生医療等製品製造での位置づけ
 QbDとは、デザインによる品質確保であり、より適切な品質を継続的に達成するために、リスクベースおよび科学ベースに基づくプロセスの継続的な改善を示唆しますが、端的には、欠陥率の低下や品質コストの低減を目的に、PAT(工程解析技術)イニシアティブにより、一変(一部変更申請)を含む改善変更が能動的かつ簡便に実施できるシステムの構築と運用であると考えます。このとき、QbDの中心的な役割を果たすのはPATであり、PATによって工程を理解、分析、管理することにより、変動するインプットに対して、プロセスがどのように乱れるか、製品の安全性および有効性にどのように影響するかを評価できることで、製造における損失の回避あるいは回収率の向上などが達成すると考えられています。
 生きた細胞を製品とする再生医療等製品(細胞加工製品)では、変動するインプットに対して、製品の品質に生じる乱れ(ゆらぎ・ばらつき)が大きいため、工程の機械化やスケールアップなどの変更を検討する場合において、製品の安全性および有効性への影響を後付けで評価し、対応することは難しいです。そのため、予めPATにより工程を理解し、製品の安全性および有効性が得られるデザインスペース(DS)を設定することは重要であり、QbDの概念を活用することは有効であると考えます。少なくとも筆者は、重要プロセスパラメーター(CPP)と製品の品質に相関するDSの理解が示せなければ一切の変更が困難となる細胞加工製品の製造では、これらは不可欠な要素であると認識しています。

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