ゼロベースからの化粧品の品質管理【第6回】

 前回は、形骸化しがちな化粧品GMPの体制について、体制を整えるツボ、5Sの活動経験を元にお話しました。今回は、化粧品GMPの手順書を作る具体的なプロセスのお話をするにあたってISO9001の認証を取得している企業ではISO9001と共通の手順書類を活用されていますので、このケースで気になっている点について説明をします。

 先ず、ISO9001はISO9001:2015に改定され要求事項や用語も大きく改定されていますのでISO22716が制定された当時とは大きく様変わりしています。その為、この要求事項に従い、各社の実態に合わせてリスク認識を行い、その対応を図る前提で手順書類が改訂されていれば問題ありません。しかしながら、従来多く見られたようにISO9001の要求事項に捉われて要求事項の順番で、要求事項の項目を列挙したシステムを整えるだけに止まっているケースでは、手順書も化粧品GMPで求めるリスクに対応した具体的行動に結びつかないため要注意です。特に、ISO9001の認証の継続だけに注力されている企業では、化粧品GMPに関しては、例えばお取引先等の外部から査察が行われたとしても手順書レベルまでは行われないことから、レベルも様々で、雛形そのままの場合もあり、本来求めるものとは異なっているもの、大きく異なっているケースがあり要注意です。

1.ISO9001と化粧品GMPとの要求事項の基礎的な違い
①.システムの要求の考え方
 それぞれのシステムが求める究極の仕組みは、お客さま満足につながる製品、サービスの提供です。ここで難しいのは、極端な言い方をすればISO9001は品質がそこそこでもお客さまが満足する品質水準ならば問題なく、GMPは衛生的で、高い品質であることが前提になっているため体制を構築するにあたってアプローチのプロセスが異なります。
 また、ISO9001は経営的要素が全面に出されており、環境分析を行うことも明記されています。勿論、化粧品GMPの体制構築、製品の市場出荷判定においても法規、安全性情報等の動向と適切に行うことが求められていますので、要求が抜けている訳ではありません。しかしながら、ISO9001では外部情報ソースを明記する必要があり、具体的な行動に結び付く意味ではISO9001の方がこの事項に関しては具体的かもしれません。
 簡単にISO9001と化粧品GMPとの要求事項の違いについて見てみますと、
・ISO9001:システムが整っていること。品質保証のレベルまでは要求されていない。
 課題に対してPDCAを回す。課題の認識がキーポイントである。
・化粧品GMP:製品の品質保証を保証できるシステムレベルであること。
逸脱に対してPDCAを回す。構造設備の要求事項も含む品質リスクに対してシステムを構築し、品質保証を確保する。
②.適用範囲
・ISO9001:経営的視点で、トップマネジメントで運用。設計から販売までの全プロセスが対象。
・化粧品GMP:原材料・仕掛品の受け入れから製品の出荷までのプロセスが対象。設計、物流は対象外。法規面ではGQP、GVPによりお客さまが使用されるまでの間の品質保証する体制が必須となっている。

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